うんこ英単語2000をクソ真面目にレビュー・主要単語帳との比較・共通テストカバー率など【リクエスト回】【ターゲット】【システム英単語】【LEAP】

どーも！がこないのクボタです。

今回もリクエストコメントにお答えする単語検証動画シリーズの、ブログ記事バージョンになります。特に動画上では、単語リストの表示は部分的になっておりますので、全リストをゆっくり文字で見たい方はこちらを参照してください。

今回はYouTube上で寄せられたコメントはこちら。

というわけで今回は、単語帳の中では何かとネタ扱いされやすい「うんこ英単語2000」を中心に、タイトルに示した単語帳合計4冊の見出語単語の検証を「クソ真面目に」していきます。

今回やりたいこと

今回やりたいことを1枚の図で表したので、まずはこちらをご覧ください。

箇条書きに書いてあるとおりです。2冊同士の比較は大雑把に、4冊比較から割り出された単語はなるべくリスト内も表示するので、目次から見たいところだけ飛んでも構いません。

うんこ英単語2000の概要

うんこ英単語2000は大学受験の単語帳というよりはむしろ、数年前全国で200万部以上の大ヒットとなった、小学生向けの「うんこドリル」シリーズを思い浮かべる人の方が多いでしょう。つまりぽっと出の気を衒っただけの単語帳というよりはむしろ、受験業界を超えた枠でヒットを飛ばしたシリーズが、大学受験に世界に殴り込みをかけてきた、いわば黒船のような存在と言えます。作者は映像作家やディレクターで有名な古屋雄作さん。ネット界隈では知る人ぞ知るといった有名な方で、初期YouTubeにおいてカルト的な人気を誇ったノリアキ氏のプロデュースや、「人の怒らせ方」シリーズのシュールな雰囲気はなんとも言えない魅力がありました。

帯によると、うんこ英単語2000は「253大学の入試問題を徹底解析」して作られているそうです。流石に単語の選定はその筋のプロに任せているとは思いますが、大きく捉えるなら古屋雄作ミーツ大学受験英語といった世界観だと考えてください。

帯の情報から２次試験向けに作られていると判断できるので、今回の比較対象は同じく２次試験向けとされるターゲット1900、システム英単語、LEAP英単語になります。

タイトルの「うんこ」に引っ張られてネタ色が強く見えますが、単語の選定は至って真面目で全2000単語、並びも頻度順となっており、ただのおふざけではないという心意気が伝わってきます。

うんこ英単語2000のレイアウト

うんこ英単語2000のレイアウトはこんな感じ。

左から見出語と発音記号、意味と派生語、右ページは例文とその訳になります。
私は個人的に左右のページに見出語が載っているタイプがあまり好きではないので、左側だけに載っている点は好印象。電車で小さく開けながら、見出語だけで回すやり方ができます。

うんこ英単語のうんこ成分は全て例文の中に

大ヒットしたうんこドリルシリーズは、例えば漢字ドリルならその文章の中に全て「うんこ」という語が入っています。意味がスッキリ通る文もあれば、ゴリ押しで突っ込んだだけの文もあり、ときにそのミスマッチ具合が逆に面白いと評判になりました。特に小学生は「うんこ」という単語だけで大笑いできる年頃ですからね。

当然このうんこ英単語2000もそのような特徴は引き継いでいます。見出語では流石に遊べないので、unko(名詞扱い)を必ず例文内に入れることによって、先ほど触れたような独特な世界観を作り上げています。

例文を何個か引用します。

ちなみに「うんこをする」は"do unko"として何度も何度も出てきますが、実際の英作文では使えない(伝わらない)のでこの本だけで許されている表現だと理解しておいてください。

まとめでもう一度触れますが、この例文を(最後まで)面白いと思えるかが全てです。(下ネタが嫌いな人はそもそも眼中にないでしょうから)楽しく単語を覚えたいという人が手に取る前提で考えます。興味本位で手に取った時、最初はおそらく誰もがクスッとできるでしょう。英語が苦手な人の入口として最高なのは間違いありませんが、そのクスッとした感じが2000個続いた時もまだ楽しめるかは人によると思います。

逆にいわゆるオーソドックスなお堅い単語帳が嫌で嫌でたまらない、ストレスでしかない人にとってはお勧めです。たとえ純粋な英語からはそれた例文だったとしても、見出語の訳を楽しんで覚えきったならば、今後真面目な英語学習に切り替えたとしてもここでの語彙力が生きてくるはずです。

2冊の単語帳比較

それではうんこ英単語2000を中心にタイトルの単語帳を順番に検証していきます。

2冊の被りは普通これくらい

その前にうんこ英単語2000以外の3冊の単語帳は、そもそも2冊比較だとどれくらい被っているのでしょうか？
基準を知っておかないと被りが多いのか少ないのか判断できないので、ダイジェスト的に見てもらいます。

まずはターゲット1900とシステム英単語の被りはこんな感じ。

差分は引き算すれば出るので割愛します。

次にターゲット1900とLEAPの被りはこんな感じ。

そしてシステム英単語とLEAPの被りはこんな感じ。

これらの数を覚えておいてください。いいですね？

うんこ英単語2000とターゲット1900の比較

それでは早速うんこ英単語2000とターゲット1900の比較に入ります。

今回使用する言語はPython、自然言語処理ライブラリとしてSpacyになります。詳しいプログラミングのコード部分は割愛します。

共通項だけ示すのでテンポよくいきましょう。

シス単やLEAPに比べて200個くらい被りが少ないですが、半分以上の単語が被っていることもあり、やはり２次試験レベルと考えて問題ないようですね。

うんこ英単語2000とシステム英単語の比較

次にうんこ英単語2000とシステム英単語の共通項はこんな感じ。

これも同じくらい。

うんこ英単語2000とLEAP英単語の比較

次にうんこ英単語2000とLEAP英単語の共通項はこんな感じ。

これも同じくらいの数に落ち着きました。

とはいえ他の3冊同士の比較と比べて、若干被りが少ないので、この中身をもう少し詳しく調べるため、4冊同時検証に入ります。

4冊全てで共通する語はどれくらい？

ではこの図を見てください。

4冊の単語帳の全ての見出し語の中で、共通している数はこんな感じ。

2冊比較に比べて数が減るのは当然です。それでも800個オーバーです。どの単語帳も、２次試験によく出る単語はある程度被っていることが分かりますね。

4冊の共通単語全リスト

動画では時間の関係上、全ての単語を紹介することはできませんが、ブログは別です。文字の利点を生かして、共通する単語の全リストを見ていただきましょう。縦にかなり長くなるので、見たい方だけ見られるようにするため、袋とじにしておきます。訳は自分で調べてください。

4冊の単語帳それぞれの差分

次に今回の4冊の単語帳の差分をそれぞれ割り出したいと思います。

まずは数を一気にご覧ください。

被りが多いといっても、うんこ英単語2000だけ独自単語が多いのが分かります。

うんこ英単語2000の独自単語をもう少し深掘りしたい

次にうんこ英単語2000だけに載っている551単語について。

これだけ多いと一見、

2次試験レベルが551個も余分に覚えられて最高！

と思うかもしれませんが、被らないということは以下の可能性が考えられます。

正直1と2は極めて主観的なものなので、一概に決めることはできませんが、3は以下の観点から客観的に割り出すことができます。

つまり、ターゲット1200・システム英単語ベーシック・そして中学生向けの単語帳であるターゲット1800に乗っている単語を基礎単語とみなし、これらに載っている単語は除外することで、(ある程度は)簡単な単語は省くことができます。

というわけで、早速これら4冊の独自単語から、基礎レベルの単語を省いた数字がこちらになります。

この点からも、うんこ英単語2000は独自単語が多いと結論づけることができます。

うんこ英単語2000の基礎を除いた独自単語の全リスト

それでは今回はうんこ英単語2000を中心に検証しているので、これら基礎単語を除いた独自の397単語を全てリストで表示します。

はい、綴りの短い順に並べてみましたが、他の単語帳の派生語違いがたくさん載っていることが分かります。前回触れたStock4500とは違い、テーマ別の専門的な２語以上のフレーズなどは載っていないので、やはりオーソドックスな範疇は守っている印象です。

うんこ英単語2000は共通テストでいくつ的中させたか

それでは最後に、うんこ英単語2000が共通テスト2022の英語でいくつの単語を的中させたかを発表します。

自然言語処理の手順に興味のある方は、こちらの記事を参照してください。

予想としてはオーソドックス型なので、従来のものと同程度の的中率が期待できそうです。

その他の3冊は以前記事でも検証しているので、そのまま数字だけの発表になります。

結果はこんな感じ。

うんこ英単語2000は256単語を的中させました。数だけなら他の単語帳に全く引けを取っていませんね。

それでは今から4冊の単語帳の、共通テストで的中させた単語の中身を順番にリストで表示します。

難しい単語で稼いだ数なのか、簡単な単語で稼いだ数なのかはみなさんの判断にお任せします。

ターゲット1900の共通テスト2022的中単語リスト

ターゲット1900の的中単語はこちら。

システム英単語の共通テスト2022的中単語リスト

システム英単語の的中単語はこちら。

LEAP英単語の共通テスト2022的中単語リスト

LEAP英単語の的中単語はこちら。

うんこ英単語2000の共通テスト2022的中単語リスト

うんこ英単語2000の的中単語はこちら。

予想した通り、うんこ英単語2000のみで共通テストに臨んでも、全く問題ないということが結論づけられました。

まとめ

今回の検証は以上です。まとめはこんな感じ。

見出語自体は、大真面目に大学受験2次試験レベルを網羅しています。「見出語だけでいいから全部覚えたい」という方は、面白おかしく覚えていけるこの単語帳最大のメリットを享受できると思います。

ただしこの単語帳自体はやはり、コンセプト自体が本道からそれたネタ感が強いという側面は否定できません。言い換えるならば「イロモノ」として見られることは間違いないでしょう。特にその傾向は、例文部分が大部分を占めています。

このうんこネタをどう捉えるかによって、賛否は大きく別れてくる単語帳なのは間違いありませんし、作者もそれをあえて狙っているのでしょう。

ものすごい大雑把な言い方をすれば、楽しんで覚えたい派と真面目に覚えたい派。後者には全く合わないのはいうまでもありませんね。そもそもそこをターゲットとして作られていません。

では前者の「楽しんで覚えたい派」にとって、全員にお勧めできるかといえば、私は一度よく考えるべきだと思います。
この記事を書くにあたってネットでいくつかレビューを拝見したところ、この本で楽しく英単語を覚えているという人の多くが「趣味で英語を勉強している」「生涯学習として勉強している」傾向が高いと感じました。例えば主婦の方で、この本で楽しく英単語を覚えつつ、例文のおかしさを子供と共有し合いながら大笑いできたというものがありました。

特にアマゾンレビューの肯定的なレビューでは、大学受験で使用する人よりもそれ以外の用途で使用する人の方が多い傾向にあります。

つまりここからは個人的な意見ですが、おそらく大学受験など人生をかける一世一代の大勝負には、まだまだ王道の単語帳を選ぶ人が多いのではないかと予想します(まだ出て１年なのでサンプル不足ですが)。

特に例文まで大事にしたい受験生にとって、うんこシリーズの例文は本当にシュールで面白いものばかりですが、うんこネタを半ば強引に散りばめている以上、その例文が本当に実用に耐えるレベルなのかを疑問に思ってしまう恐れが出てきそうです。

さらに最近の単語帳では定番形式であるネット上での音声も、単語しかありません。そう、例文音声がないのです。もちろん全てうんこネタの例文だから、(常識的な)意味をなさないような文章に、音声は必要ないと判断されたのかもしれません。しかし私のように、新しい単語帳を買ったら散歩や寝落ち目的で例文をひたすら垂れ流すタイプにとっては、この点は大きなデメリットとなるでしょう。

以上の点を熟慮した上で、それでもこの本の面白さが刺さるんだ、という人にはこの本はお勧めです。

最後に動画バージョンからの引用になりますが、うんこ英単語2000にしか載っていない単語を私が独断で30個ほど抜粋し、暗記コーナーを作リました。該当箇所から再生できるように動画を埋め込みましたので、興味のある方は活用してください。

はっきりとモチベーションに繋がるので、よかったら高評価やチャンネル登録してね。

と言うわけで今回はここまで！