パス単1級は大学受験にはオーバースペック！自分で覚えた経験とプログラミングの検証からわかったこと

どーも！がこないのクボタです。

しばらく更新が空いてしまいました。8月は本業の夏期講習で手一杯だったのと、9月の頭はその他のバタバタが重なり、あえて動画やブログの方はお休みさせていただきました。

その間私が隙間時間にしていたことは、一言で言えば自分のための英語学習です。

動画や記事作成が本格化する中で、たくさんのリクエストをいただけるようになりました。それは大変ありがたいことで、今後もできる限り答えていきますが、それと同時に「自分に英語力がもっとあれば、、、」と感じるようにもなりました。

今のままでは自分の英語力からの切り売り状態になってしまうので、もう一度腰を据えて、自分の英語力の上限を上げていくことが必要と感じたんですね。

その足掛かりとして結論から言えば、私は単語力をもう一度(TOEIC受験時以来)鍛え直すために、夏期講習の間にパス単1級を全て覚えました。

今回はその中で私が行った方法や感じたこと、さらにこのブログでは主に大学入試の観点から考えることも多いので、特に難関大学においてパス単1級は必要なのかどうか、現時点における私なりの所感などをまとめてみようと思います。

今回やりたいこと

今回やりたいことを1枚の図で表したので、まずはこちらをご覧ください。

箇条書きにあるとおりです。

特にパス単1級と各単語帳の2冊比較で被った単語は全てリスト表示するので、どの単語帳を使っていたとしても、パス単1級までの距離感が掴めると思います。

なお今回はパス単1級の概要やレイアウト、その特徴などを細かく触れることはしません。

大まかに「英検1級レベルの単語」ぐらいの目安として見てください。

なおパス単1級の総単語数は2100個です。別に300個の熟語も載っていますが、今回は対象外としました。

パス単1級を覚えるのにかかった期間

まずは、私がパス単1級を覚えるまでの期間をまとめた図をご覧ください。

一言で言えば

ということになります。

この期間が長いか短いかは人によります。当然それは、元々の単語力や暗記をするのに使える時間次第だからです。

一応私の(何も仕上げていない)素の状態とでも言いましょうか、いつでも最低これぐらいは分かるという単語力は

だと自認しております。

数年前TOEICを2回だけ連続で受験した時が、私の単語力のピークでした。

大学入試レベルの単語は毎日仕事で触れるので当然忘れませんが、それ以上の使わない単語はどんどん忘れていくんですね。

YouTubeやTwitter上ではTOEIC満点、英検1級満点合格者がゴロゴロいますが、私はまだそのレベルには遠く及びません(これから近づく予定)。

私の単語力の裏付けとして、パス単1級を初めて開いてチェックした時に、およそ半分くらいの単語は私がすでに知っているものでした。

この状態から完璧に仕上げるのに要した時間がおよそ1ヶ月ということになります。

また、どのレベルでその単語を覚えたとみなすか。

今回は、

という基準にしました。

10秒かかってやっと思い出せたり、ヒントとして例文を見ればその文脈から推測できたとしても、それらは今回アウトとしています。試験で10秒も思い出していたら間に合いませんから。

ランダムチェックにはパス単1級の本は使わず、別途私が用意したAnkiというアプリ上で行いました。独学界隈ではあまりにも有名なアプリですが、今回は使用方法などの説明は割愛します。

単語帳を使ったランダムチェックも、レイアウトの位置や前後の単語の順番、本の厚み(今どのあたりかわかってしまう)など、どうしてもその単語以外のヒントから答えに辿り着いてしまうことがあるので、Ankiを使いました。

受験生の皆さんも、理想を言えば単語帳以外の何かでチェックできるといいですね。単語帳って実は自分では覚えたつもりでも、その単語帳だから思い出せてるだけってことは多いんです。

例えばどうしても覚えられない単語だけ、手書きの暗記カードにするだけでも変わりますよ。

パス単1級を覚えるまでの手順

私がパス単１級を覚えるまでの手順を簡単にまとめておきます。

単語の暗記に費やした時間は1日2時間〜4時間、机で余裕があるときは単語帳を使い、朝と夜のウォーキングや隙間時間では先述したAnkiアプリを常にチェック、この繰り返しですね。

ちなみにAnkiの中に全ての単語を入れるのは、プログラミングの配列からCSVファイルにPython上で書き出し→Ankiにインポートで、綴りが並んだリストだけならすぐに作れます。
(※訳と発音記号は最初の1週間で自分で入力しました。音声は人工音声のMicrosoft Azureから引っ張ってきています。)

図の箇条書きを順番に軽く見ていきます。

やはり私も最初は赤シートで、順番に上からテンポよく訳を覚えていきます。

反動をつけるとはテンポよく上から覚えることです。

いきなり目当ての単語を覚えるより、上から順番にテンポよく言えば意味が出てくることってあるでしょ？(九九やアルファベットだって小学生はテンポで覚えるあの感じ！)

ただしこれは私の中では覚えるというよりも、接触回数を増やすための目的で行っています。流石に全く見たことのない単語はいくらランダムでチェックしても、何度やっても覚えられませんから。

単純接触回数を増やすとでも言いましょうか、「この単語なんとなく見たことある」ぐらいの状態に引き上げる感覚で、(最初の)赤シート覚えは取り組んでいます。

ここから、単語帳を使ってある程度のまとまり(100個とか200個)の訳が言えるようになるまで頑張ります。

私の場合は100個単位で毎回覚えていました。

既に知っているもの、少しの努力で覚えられたものはさっさと除外し、多少手こずるものだけ気にかけて覚えます。

私の「気にかける」というものは、「手段を選ばず」と置き換えてもらって構いません。

レイアウトの順番的に覚えてしまう(あの単語の下だから、、、のようなイメージ)

接頭語や接尾語から連想してその訳を覚える

例文を読んだ状況から覚える

強引なこじつけで覚える

などなど、どんなやり方も試します。

正しい方法(ここでは接頭語や接尾語、語源などでしょうか)が一番良いのでしょうが、今は覚えたもの勝ちという意識で覚えます。この辺の割り切りの大切さはまた別の記事でいつか説明しますね。

100個まとめて覚えたと判断したら、Ankiアプリで実際にランダムチェックしてみます。やればわかりますが、全然覚えられていないことがここで実感できます。

2の段階をひたすら繰り返して覚えたと判断してしまう受験生、それは覚えたんやない、その単語帳に導かれてるだけやで。

先ほどののランダムチェックで何度も間違えてしまう問題は、暗記カードの特性上、何度か繰り返していると当然答えられるようになります。

もちろんそれは、「間違えたもの」だけを抜粋して何周も回していくから答えられるようになっているだけです。

よっって明日も、もしくは明後日もその単語が言えるかチェックするために、Ankiの機能を使ってCSVファイルで書き出し、エクセルで見れる状態にします。

クラウド上に保存しておけば、暇な時にiPhoneやiPadからいつでもその表を確かめることができます。

ここまでの作業を100個単位から200個単位、500個単位、前半1000個と後半1100個など様々な枠組みで繰り返します。まあここの期間が3〜4週間続きました。

ここまで繰り返すと、それでもどうしても覚えられない単語がちらほら出てきます。それらの単語には、ありったけの愛情を注いであげましょう。特別扱いをしてあげるんです。

私の場合は、自分だけの例文を作って、身振り手振り、馬鹿馬鹿しいシチュエーションも設定して、ロールプレイも交えてその単語を覚えました。この辺のコツはいつか別記事に挙げますね。

この「特別扱い」は、その単語を思い出したときに「自分だけの超オリジナルな体験」も共起されるため、かなり記憶に定着します。

ちなみになぜ最初の段階でこの特別扱いをしないのか。それはその行為が「特別じゃなくなってしまうから」ですね。

ここまでの段取りを常にフル回転させて、何度も何度も最終チェック、最終的に納得のいくクオリティまで仕上がったのがおよそ1ヶ月後ということになります。

ぶっちゃけAnkiを使わなかったら、倍の時間はかかったと思います。それくらいこのアプリにはお世話になっています。

パス単１級と各2冊同士で被り検証

私はパス単１級の単語をスタート時からおよそ半分は即答できました。

しかし多くの受験生がもしパス単１級を覚える場合、それより単語力の乏しいところからスタートするはずです。

それは一体のどレベルを意味するのでしょうか。

ここで役に立つのがお馴染みプログラミングの配列機能。

パス単１級を中心に、大学受験2次試験向けの主要単語帳(ターゲット1900、システム英単語、LEAPなど)との２冊比較をしていきます。

2冊の被りは普通これくらい

その前にパス単1級以外の大学受験２次試験レベルの単語帳は、そもそも2冊比較だとどれくらい被っているのでしょうか？

基準を知っておかないと被りが多いのか少ないのか判断できないので、ダイジェスト的に見てもらいます。

まずはターゲット1900とシステム英単語の被りはこんな感じ。

差分は引き算すれば出るので割愛します。

次にターゲット1900とLEAPの被りはこんな感じ。

そしてシステム英単語とLEAPの被りはこんな感じ。

これらの数を覚えておいてください。いいですね？

パス単1級とターゲット1900の被り

それでは早速パス単1級とターゲット1900の比較に入ります。

今回使用する言語はPython、自然言語処理ライブラリとしてSpacyになります。詳しいプログラミングのコード部分は割愛します。

共通項だけ示すのでテンポよくいきましょう。

被りが極めて少ないことがわかります。

よく言えばパス単1級を覚えることで難単語を1800個ぐらい増やせるとも解釈できますが、それだけ負担量が大きいとも言えます。

今回はここでの被り単語を逐一リスト表示していきます。

自分の使っている単語帳を極めた場合、パス単1級の中でどれくらい覚えたことになるのかの目安になるでしょう。

縦に長くなるので、見たい方だけ見られるようにするため、袋とじにしておきます。訳は自分で調べてください。

パス単1級とシステム英単語の被り

次にパス単1級とシステム英単語の共通項はこんな感じ。

パス単1級とLEAPの被り

次にパス単1級とLEAPの共通項はこんな感じ。

パス単1級と鉄壁の被り

次にパス単1級と鉄壁の共通項はこんな感じ。

パス単1級と逆転英単語2000の被り

次にパス単1級と逆転英単語2000の共通項はこんな感じ。

パス単1級とStock4500の被り

次にパス単1級とStock4500の共通項はこんな感じ。

パス単1級とパス単準1級の被り

念の為パス単1級とパス単準1級の共通項も見ておきましょう。

どの単語帳も、パス単1級の2割にも満たない数だとわかりますね。

逆に言えば、これらの難単語よりも覚えづらい単語は1800個ぐらいあると考えてください。

大学受験で他の科目もある生徒にとっては、途方もない負担であると容易に想像できますね。

ただしパス単1級の半分までならOKかも

ここまでの結論(パス単1級は受験には高負荷すぎる)は今までの記事でも何度か触れました。

同じ結論の繰り返しもつまらないので、それでもパス単1級を使いたい人向けに

という考え方を紹介します。

これは今回の検証で私がたまたま気づいたことなのですが、実は先ほどの２冊被りの検証で

ことが分かりました。それを今から順番に説明しますね。

パス単1級の前半部分との被り検証

ではこの図を見てください。

例えば先ほどのターゲット1900との被りは339単語。これらの数値が、パス単1級に均等に混ざっているわけではありません。

当然ですがパス単1級の中でも掲載順には意図があり、かなり大雑把に言えば後半の方がマニアックな単語が増えてきます。(私が覚えた感覚でも1300以降は苦労しました。)

というわけでパス単１級を前半(1〜1000)と後半(1001〜2100)に分け、これらの被りに偏りがあるのか検証した結果がこちら。

なんと281個もの単語が前半に出てくることになります。4個に1個は知っている単語があると考えれば、暗記の負担量も若干軽減されます。

これは他の単語帳でも全く同じ傾向となりましたので、順番に表示します。

パス単1級の前半部とシス単はこちら

パス単1級の前半部とLEAPはこちら

パス単1級の前半部と鉄壁はこちら

パス単1級の前半部と逆転英単語2000はこちら

パス単1級の前半部とStock4500はこちら

パス単1級の前半部とパス単準１級はこちら

どの単語帳も若干の差はありますが、傾向としては同じです。

1000個中800個ぐらいを覚えることになるので、それなりの負荷はやはりかかりますが、比較的現実的なラインになったと感じます。あくまでも1つの可能性として参考にしてみてください。

二次試験で出るのも前半からが多い

ここからはおまけとして、いわゆる難関大学におけるパス単1級の的中率も、主に前半に固まっているというデータを紹介します。

例えばこれは以前の記事からの引用になりますが、

京都大学3年分(2020〜2022)や慶応大学３年分(2019〜2021)の中で、ターゲット1900、システム英単語、LEAPとパス単1級それぞれの的中率はこんな感じ。

どちらもパス単1級の的中単語は少ないことが分かります。まあ難単語になればなるほど的中率は下がるので当然なのですが、大事なのは費用対効果。

その単語帳を覚える負荷に対して、きちんと点数アップにつながった、その単語が出てくれたおかげで長文が読めたなどのリターンがあることが大切です。

その点から言えば、やはり全体としてはパス単1級は大学受験においては明らかにオーバースペックで、見返りが(覚える負担に対して)少ないといえます。

ただし、先ほどの前・後半の観点から的中具合を見ると、やはり面白い傾向が見えてきます。

どちらも大学でも的中単語の大半は、前半部分(1〜1000)に集中していることが分かります。

パス単1級の中でも前半の方が若干易しめで、ちょうど難関国公立の二次試験レベルにも被りやすくなったからでしょう。

費用対効果の面からも、前半の1000単語を覚える価値はあるかもしれませんね。

まとめ

今回の検証は以上です。まとめはこんな感じ。

箇条書きの通りです。

一言で言えば

って感じですね。

繰り返しになりますがパス単1級は大学受験において完全なオーバースペックです。

特に私はこのようなブログを運営しているので、二次試験レベルの定番単語帳から、人と差をつけるためにあえてパス単1級に飛び級しようとする勇者からの相談を多々受けますが、基本的にはやめとけと言います。

理由としては覚えられないからではなく、覚えるのに多くのもの(主に時間)を犠牲にしなければならない。さらに覚えたとしても受験にはそんなに出てくれないからですね。

もちろん高校生の時点ですでに私よりも英語力の高い人もいるでしょう。英語のスペシャリストを目指して、血の滲むような努力をしている人は例外です。自分の正しいと思った道を進んでください。

この記事は、あくまでも一般的な難関国公立を目指す受験生に向けて書きました。もしも他に克服しなければならない問題(苦手科目、リスニング、長文、文法など)があるにもかかわらず、比較的とっつきやすい単語力強化という側面だけを追い求めてパス単1級に手を出そうとしているなら、その後ろめたさは自分自身が一番気づいているはず。

単語だけに逃げず、バランスの良い学習を心がけてください。

今回の記事の動画バージョンはこちら。

はっきりとモチベーションに繋がるので、よかったら高評価やチャンネル登録してね。

それでは今回はここまで！