Stock4500とターゲット・システム英単語・LEAP英単語の比較【リクエスト回】

どーも！がこないのクボタです。

今回もリクエストコメントにお答えする単語検証動画シリーズの、ブログ記事バージョンになります。特に動画上では、単語リストの表示は部分的になっておりますので、全リストをゆっくり文字で見たい方はこちらを参照してください。

今回はYouTubeとブログ上で寄せられたコメント２件を同時に検証していきます。寄せられたコメントはこちら。

先に今回の検証結果を簡潔にまとめた表をご覧ください。

単語帳	単語レベル	解説・派生語	独自性
ターゲット1900	基礎少なめ
	1単語1例文・派生語豊富・専用アプリあり(有料)。
システム英単語	基礎少なめ		ミニマルフレーズ
	例文なし・多義語コーナー・青字の補足が的確。
必携英単語LEAP	基礎充実		例文に工夫
	単語内の用法別に例文を用意・語源説明も豊富。
Stock4500	基礎充実		単語選定が独特
	あえてテーマ別の専門用語や口語など、独自単語をかなり多く収録、その分難単語の数は多少犠牲に。だから追加もあり。

というわけで今回は単語帳の中では新しい存在のStock4500を中心に、タイトルに示した単語帳合計4冊の見出語単語の検証をしていきます。

今回やりたいこと

今回やりたいことを1枚の図で表したので、まずはこちらをご覧ください。

箇条書きに書いてあるとおりです。2冊同士の比較は大雑把に、4冊比較から割り出された単語はなるべくリスト内も表示するので、目次から見たいところだけ飛んでも構いません。

Stock4500の概要

Stock4500は2018年12月に出てきた、受験業界の中では最後発組の単語帳です。監修されたのはスタサプことスタディサプリでお馴染みの関正生先生。ご本人の昔のTweetによると、Stock3000が高校1年生〜センターレベル(今の共通テスト)、Stock4500が国公立2次〜早慶の基本レベルまでだそうです。よって今回の比較対象は同じく２次試験向けとされるターゲット1900、システム英単語、LEAP英単語になります。

単語の選定は全2155単語、いわゆるオーソドックスな出る順ではなく、文法におけるカテゴリ別、長文テーマ別、会話でよく使うもの、英検準２級、２級でよく出るものなど、後発組の工夫が感じられます。特に最初の文型ごとに分けられた単語コーナーは、高校入学直後の文系の授業と合わせて覚えれば便利だなと感じました。

難易度別ではないので、だんだん簡単な基礎単語→マニアックな２次試験向けの順にはなっていません。最初の方で意外に難しい単語が出てくることもあれば、1500番以降でも基礎的な単語に出くわすことがあります。よって「800まで覚えればいい」「1500まで覚えればいい」のような、途中で区切って終わろうとする生徒には向いていないので、必ず1冊を完了させることを目的に買ってください。

Stock4500のレイアウト

Stock4500のレイアウトはこんな感じ。

左から見出語と発音記号、意味と派生語、右ページ左から例文、解説コーナーになります。
私は個人的に左右のページに見出語が載っているタイプがあまり好きではないので、左側だけに載っている点は好印象。電車で小さく開けながら、見出語だけで回すやり方ができます。

右側の解説コーナーは語源の説明や覚えるための語呂合わせ含めたコツ、文法的な説明などその単語にまつわる何かしらのコメントが必ず載っています。2155単語全てにこのコーナーを設けたものは大したものですね。

Stock4500のレイアウト・良かった点

Stock4500の良かった点は全ての見開きページで、一番下のページ部分に会話表現が載っているところです。

左に会話表現、右に訳が載っているのですが、400ページを超えるページ数からして最低でも200個以上の会話表現(単語含む)を覚えることができるのはとてもありがたいです。かなりくだけた表現も載っているので、いわゆる文法チックなお堅い単語帳とは明らかに差別化を図っているのがわかります。

Stock4500のレイアウト・不満点

不満点はただ1つだけ。それは見出し語の訳でその単語が自動詞か他動詞か判別できない点です。例えば"catch"だったら「捕まえる」という訳のみ。他の単語帳では他動詞として「〜を捕まえる」と書いてあるものが大半で、それに慣れている私としては、致命的に思えます。

もちろん右の例文を見ればその動詞が自動詞として使われているのか、あるいは他動詞として使われているのかは分かりますが、そもそもそのレベルで例文を見ようとする生徒は英語が得意な生徒です。苦手な生徒ほど例文を見ないで見出し語だけ覚えようとします。

そのようないわゆる意識の低い生徒にも、最低限のレベルで自動詞か他動詞かを意識してもらうため、日本語訳の部分で目的語の有無「〜を・〜に」の部分は付けてほしかったです。おそらくそういう部分を簡略化して敷居を下げるのが目的だったのでしょうが、例文を見なければ判別できないということは、逆説的に敷居をあげているように感じます。

2冊の単語帳比較

それではStock4500を中心にタイトルの単語帳を順番に検証していきます。

2冊の被りは普通これくらい

その前にStock4500以外の3冊の単語帳は、そもそも2冊比較だとどれくらい被っているのでしょうか？
基準を知っておかないと被りが多いのか少ないのか判断できないので、ダイジェスト的に見てもらいます。

まずはターゲット1900とシステム英単語の被りはこんな感じ。

差分は引き算すれば出るので割愛します。

次にターゲット1900とLEAPの被りはこんな感じ。

そしてシステム英単語とLEAPの被りはこんな感じ。

これらの数を覚えておいてください。いいですね？

Stock4500とターゲット1900の比較

それでは早速Stock4500とターゲット1900の比較に入ります。

今回使用する言語はPython、自然言語処理ライブラリとしてSpacyになります。詳しいプログラミングのコード部分は割愛します。

共通項だけ示すのでテンポよくいきましょう。

シス単やLEAPに比べて300個くらい被りが少ないですね。

Stock4500とシステム英単語の比較

次にStock4500とシステム英単語の共通項はこんな感じ。

これも少ない。

Stock4500とLEAP英単語の比較

次にStock4500とLEAP英単語の共通項はこんな感じ。

なんと1000を切ってしまいました！

Stock4500はどの本と比べても、被りは他の比較と比べて少なくなります。この中身をもう少し詳しく調べるため、4冊同時検証に入ります。

4冊全てで共通する語はどれくらい？

ではこの図を見てください。

4冊の単語帳の全ての見出し語の中で、共通している数はこんな感じ。

2冊比較に比べて数が減るのは当然です。おそらくStock4500がグッと共通項を減らしているからでしょう。

4冊の共通単語全リスト

動画では時間の関係上、全ての単語を紹介することはできませんが、ブログは別です。文字の利点を生かして、共通する単語の全リストを見ていただきましょう。縦にかなり長くなるので、見たい方だけ見られるようにするため、袋とじにしておきます。訳は自分で調べてください。

4冊の単語帳それぞれの差分

次に今回の4冊の単語帳の差分をそれぞれ割り出したいと思います。

まずは数を一気にご覧ください。

ここでもStock4500だけ、圧倒的に独自単語が多いのが分かります。

Stock4500の独自単語をもう少し深掘りしたい

次にStock4500だけに載っている840単語について。

これだけ多いと一見、

２次試験レベルが840個も余分に覚えられて最高！

と思うかもしれませんが、被らないということは以下の可能性が考えられます。

正直1と2は極めて主観的なものなので、一概に決めることはできませんが、3は以下の観点から客観的に割り出すことができます。

つまり、ターゲット1200・システム英単語ベーシック・そして中学生向けの単語帳であるターゲット1800に乗っている単語を基礎単語とみなし、これらに載っている単語は除外することで、(ある程度は)簡単な単語は省くことができます。

というわけで、早速これら4冊の独自単語から、基礎レベルの単語を省いた数字がこちらになります。

この点からも、やはりStock4500はユニークな単語が多いと結論づけることができます。

Stock4500の基礎を除いた独自単語の全リスト

それでは今回はStock4500を中心に検証しているので、これら基礎単語を除いた独自の622単語を全てリストで表示します。

はい、綴りの短い順に並べてみましたが、後半から２語以上のフレーズがたくさん出てきたのが分かります。Stock4500はテーマ別の単語も多く収録しているので、そのテーマごとのキーワードのような語は２語以上でも載せておこうという気概が感じられますね。

Stock4500は共通テストでいくつ的中させたか

それでは最後に、Stock4500が共通テスト2022の英語でいくつの単語を的中させたかを発表します。
いくら独自単語を増やしても、テストに出ないものばかりなら自己満足で終わってしまいますからね。

自然言語処理の手順に興味のある方は、こちらの記事を参照してください。

その他の3冊は以前記事でも検証しているので、そのまま数字だけの発表になります。

結果はこんな感じ。

Stock4500は252単語を的中させました。数だけなら他の単語帳に全く引けを取っていませんね。

それでは今から4冊の単語帳の、共通テストで的中させた単語の中身を順番にリストで表示します。

難しい単語で稼いだ数なのか、簡単な単語で稼いだ数なのかはみなさんの判断にお任せします。

ターゲット1900の共通テスト2022的中単語リスト

ターゲット1900の的中単語はこちら。

システム英単語の共通テスト2022的中単語リスト

システム英単語の的中単語はこちら。

LEAP英単語の共通テスト2022的中単語リスト

LEAP英単語の的中単語はこちら。

Stock4500の共通テスト2022的中単語リスト

Stock4500の的中単語はこちら。

こんな感じです。若干LEAPとStock4500は簡単な単語が多めですね。

まとめ

今回の検証は以上です。まとめはこんな感じ。

今回の4冊を相対的に評価するならこんな感じ。

単語帳	単語レベル	解説・派生語	独自性
ターゲット1900	基礎少なめ
	1単語1例文・派生語豊富・専用アプリあり(有料)。
システム英単語	基礎少なめ		ミニマルフレーズ
	例文なし・多義語コーナー・青字の補足が的確。
必携英単語LEAP	基礎充実		例文に工夫
	単語内の用法別に例文を用意・語源説明も豊富。
Stock4500	基礎充実		単語選定が独特
	あえてテーマ別の専門用語や口語など、独自単語をかなり多く収録、その分難単語の数は多少犠牲に。だから追加もあり。

簡潔に言えばStock4500はユニークの一言に尽きます。

収録単語の傾向、収録順、その他の会話表現どれをとってもユニークです。ただ独自路線を行くだけなら誰でもできるのですが、それと共通テストなど受験への的中率もキープしている点が素晴らしいですね。

私は基本的に２次試験レベルの単語帳間での、「語彙を増やす目的での」乗り換えはお勧めしません。派生語を含めれば、収録単語にそこまで差は見られないからです。よってどうしてもレイアウトが肌に合わないとか、見出し語以外の説明部分が自分にしっくりきたなどの理由を除いて、「最初に決めた1冊を極める」ことをお勧めしています。

もしそれより難しい語彙を増やしたいなら英検やTOEICなどに特化した単語帳を買えばいいだけですしね。

ただし、今回のStock4500は面白いです。２次試験レベルの範疇を守りながら、従来の二次試験向け単語帳には載っていないごが多数載っていることから、従来型からさらに追加の意味で購入もありかなと思います(逆もまた然り)。

いずれにせよ、みなさんの単語選びの手助けになれば幸いです。

最後に動画バージョンで今回の記事を見たい方はこちら。

はっきりとモチベーションに繋がるので、よかったら高評価やチャンネル登録してね。

と言うわけで今回はここまで！