どうも!がこないのクボタです。
今回は中学国語文法「品詞の分類」の第2回になります。ここは中学1年生の後半〜中2にかけて習うのですが、その後の用言の活用に向けての大切な基礎の部分になります。
では先に今日のまとめを先にどうぞ。
動詞とは活用ありで言い切りが「ウ」段の単語である。
活用していたら、「元(言い切り)の形」に戻して動詞かどうか判断する。
動詞をそのままの形で抜き出すとき、1単語で抜き出す
学習を始める前に、自立語と付属語」を完璧に抜き出せることが大前提となるので、そちらがまだ不十分な方は以前の記事をご覧ください。
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自立語と付属語の抜き出しは、結局文節・単語分けって話【中学国語文法】
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また、まだ10品詞の名前があやふやな方は、先に前回紹介した導入編をご覧ください。
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それではやっていきましょう。
動詞とは言い切りが「ウ」段の動作
それでは今回から順番に10品詞の説明をしていきますね。
まず初めに覚えて欲しいのは動詞です。
みなさん動詞って聞くと何を思い浮かべますか?
動作を表すもの
英語で動詞という言葉は聞いたことがある
など様々ですが、どれも間違いではありません。
では「動作」と言われて、簡単なイメージをしてみてください。例えば
ボールを投げる
だったら、「投げる」が動作です。
一生懸命勉強する
だったら、「勉強する」が動作です。他にも例えば歯を「磨く」、早めに「寝る」などいくらでも出てきそうです。
「投げる」「勉強する」「磨く」「寝る」、、、
このように適当な動作を順番に上げていくと、
全て音を伸ばしていくと「ウ」段になる
という共通点が見えてきます。
この「ウ」段は、その動詞のもつ言い切りの形です。難しい言い方をすると動詞の「終止形」と言います。まあこれは次の単元でじっくりやるので安心してください。
英語で「動詞の原形」という言葉が出てきますね? 言い切りの形とは、これに似た言葉だと思ってください。
ではみなさんも何か動作を思い浮かべて、言い切りが「ウ」段になるような言葉を思い浮かべてください。具体的には10個ほど、ノートに書き出してみましょう。それでは一例をあげますよ?
「泳ぐ」「生きる」「登る」「泣く」「蹴る」「褒める」「遊ぶ」「着る」「買う」「行く」
はい、これらは全て動詞です。中には「生きる」のように具体的な動きが見えないものもありますが、今は動詞の中にも色々あるぐらいの理解で構いません。とにかく「言い切りの形がウ段になる動作は動詞」と考えましょう。
活用ありとは何か?
自分で動詞は挙げられるようになりましたが、もちろんテストでは自分で動詞を抜き出せなくてはなりません。
例えば次の文を見てください。
私はゴールまで一生懸命走った。
この文章の中に、動詞はありますか? 「走った」のあたりに動作らしきものは見えますが、言い切りが「ウ」段ではありません。じゃあここに動詞はないのかというと、そんなことはありません。ちゃんと(元の形が)「走る」という動詞が入っています。
実はこの「走った」という部分には、動詞「走る」が活用した状態で存在しているのです。
活用とは下に続く言葉(文の役割)で形を変えたもの
活用とは下に続く言葉(文の役割)で形を変えたものです。例えば次の図を見てください。
「泳ぐ」という動詞の下に「ない」「ます」「とき」「ば」「(命令してみる)」「う(よう)」「た(だ)」のような言葉を置いて、スムーズに繋げようとすると、こうなります。
はい、もともと「泳ぐ」だった部分の語尾が、「泳がない」「泳ぎます」「泳ぐとき」「泳げば」「泳げ」「泳ごう」「泳いだ」のように変化していますね? これを活用と言います。
一応、活用とは「下に続く後によって音が変化すること」と覚えればいいのですが、厳密には音は変わらなくても役割が変わっていれば活用していると言います。
(例)「泳ぐ(終止形)」と「泳ぐとき(連体形)」など。
※詳しくは活用形の講座で触れます。
動詞とは1単語、下に続く語まで入れるな
最後に中学生がよく犯すミスを紹介します。
それは、活用した状態の動詞を抜き出す際、例えば「泳いだ」で動詞と答えてしまうことです。
導入編でも話したように、品詞とは単語レベルの話です。つまり1単語につき、1品詞が当てられるという意味です。
「泳いだ」で動詞と答えてしまう気持ちはわかります。これで1つの動作に見えますから。
ただし「泳いだ」を単語に分けると「泳い/だ」つまり2単語です。各文節の頭の1単語が自立語なので、「泳い」までが自立語の動詞、「だ」は付属語の助動詞扱いとなります。
せっかく言い切りの形や、活用の意味を理解していても、この区切りの感覚で間違える生徒が非常に多いので注意してください。
練習問題
冒頭で触れたまとめをもう一度ご覧ください。
動詞とは活用ありで言い切りが「ウ」段の単語である。
活用していたら、「元(言い切り)の形」に戻して動詞かどうか判断する。
動詞をそのままの形で抜き出すとき、1単語で抜き出す
今ならこれらの意味が理解できますね?
それでは練習問題を2問ほど解いて終わりましょう。
基本問題
この文章の中には、動詞が活用された状態も含めていくつか含まれています。動作がイメージできる部分を考えてください。ヒントは言い切りが「ウ」段として戻せる部分です。
標準問題
最後に入試レベルの標準問題を。人によっては発展レベルと感じるかもしれません。
まずは先ほどの問題と同じように、元の形をイメージすると、動作が4箇所見つかります。
最後の「待っています」の部分では文節分けで「待って/います」となり、自立語が2つ存在することになります。言い切りが「ウ」段の動詞として考えれば、「待つ」と「いる」が含まれています。
ただし今回の問題文で気をつけてほしいのは、「そのままの形で抜き出す」点です。だから、活用された状態なら元に戻して考える点は先ほどと同じですが、元に戻した形のままで答えるとバツになってしまうのです。
きちんと文節、単語分けをして、1単語として各動詞を抜き出すとこうなります。
自動詞と他動詞(発展)
ここで少し発展レベルの話を。
次の2つの短い例文を見て、動詞を抜き出してください。
①成績が上がる。
②成績を上げる。
はい、簡単な問題ですね。正解は①が「上がる」、②が「上げる」になります。
「上がる」と「上げる」ってどっちも同じでしょ?
って思うかもしれませんが、これらは別の動詞扱いします。テストで品詞名を聞かれたら、どちらも「動詞」と書けば正解です。ただし動詞を抜き出すときに、「上がる」のところを「上げる」と書くと不正解になるので、しっかりと区別してください。
実はこれらの動詞に関しては、また別の視点から2種類に分けることができ、前者を自動詞、後者を他動詞と言います。
自動詞は自立している
自動詞とは「自」同士なだけあって、イメージとしては自立している感じです。んー、それだけではよくわかりませんよね? この「自立している」感じを掴んでもらうために、自動詞を何個か適当に挙げてみます。
はい、これら赤字で書いた部分(「当たる」「回る」「流れる」「起きる」「増える」「減る」「曲がる」「まとまる」)が自動詞になります。
わかりやすく主語と述語だけのシンプルな文で書いたのですが、実はこれこそが自立語の特徴です。
主語とは動作主のことです。主語と動詞だけで文章が(自然に)成り立っているのは、そこ使われている動詞が自分の力で立てるからなんです。
また「〜を」のように、ある動詞にその対象である目的語を追加することは、日本語や英語ではよくあることです。
ですがこのように、「〜を」を使った対象部分を作ろうとすると、文章が破綻してしまいます。他人の力(対象部分)はいらねえ、自分で立つことができるから、この特徴が自立語なんですね。
他動詞は他力本願
では次に他動詞の説明に入ります。自動詞が自立しているイメージなら、他動詞は他人に頼っているイメージになります。他力本願な感じ。
具体例はこちら。
なるべく先ほどの動詞と似た形で他動詞を並べてみました。文章が自然になるように、上の部分は変えてあります。
では、自動詞の時と同じように、主語と述語の世界だけで文書を構成してみます。
すると文章が破綻しているとは言いませんが、少し不十分なイメージが残ります。
例えば
「食べる!」
だけ言われると、
「何を?」
と突っ込みたくなりますよね。この「〜を」の部分を、文法的な世界では目的語と言いますが、まあ簡単に言えばその動作の相手や対象の部分になります。
つまり対象部分(他からのサポート)がなければ、主語だけでは(主語があったとしても)不十分に見えてしまうような動詞のことを他動詞と言うのです。
見分け方・補足
自動詞か他動詞かを見分ける方法は、先ほどから使用している「〜を」を補ってあげましょう。つまり、
「〜を」と補って不自然なら自動詞(必要ないから)
「〜を」と補って自然なら他動詞
となります。
ここで注意点は、
「どこで?」「いつ?」「どのように?」
みたいなさらに細かいツッコミは、対象ではないのでしないでください。これだと自動詞でも
「走る!」
「どこで?」
と成立してしまいます。あくまでも「何(誰)を/何(誰)に」など、対象に対してツッコミを入れてくださいね。
また、同じ動詞で自動詞と他動詞のどちらも取れるものもあります。
彼が笑う。
彼を笑う。
上が自動詞としての「笑う」、下が他動詞としての「笑う」ですが、こういうものはテストに出ないのでそこまで気にしないでください。
以上です。どうでしたか? 特に後半の問題は、入試に出てもおかしくないレベルです。実際は中2の中盤で勉強する「用言の活用」の部分で、動詞の活用はもっと細かくやります。そこの理解で、抜き出し方はより正確になっていくので安心してください。
次回は同じく活用する自立語として形容詞/span>の説明に入りますが、活用の考え方は共通していると思ってください。
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それではまた!