どうも!がこないのクボタです。
今回は中学国語文法「品詞の分類」の第5回になります。今回から自立語の中でも活用しないシリーズに入っていきます。
今日のまとめを先にどうぞ。
名詞とは初心者向けなら「人」や「もの」
名詞とは上級者向けなら「主語になれる語」
紛らわしい転成名詞は主語になれるかどうかで判断
この単元の前に、「自立語と付属語」を完璧に抜き出せることが大前提となるので、そちらがまだ不十分な方は以前の記事をご覧ください。
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自立語と付属語の抜き出しは、結局文節・単語分けって話【中学国語文法】
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また、まだ10品詞の名前があやふやな方は、先に前回紹介した導入編をご覧ください。
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それではやっていきましょう。
名詞とは初心者向けなら「人」や「もの」
それでは活用しない自立語としては1つ目の「名詞」について説明します。
名詞という言葉は動詞や形容詞と同じように、中学生の皆さんには国語よりも先に、英語で馴染みのあるフレーズかもしれません。
例えば、
I have a pen.
という文章を見て、
「”pen”は数えられる名詞だから”a”をつけましょうね。」
などと教わります。
ここでの名詞とは「ペン」、つまり「ものの(一般的な)名前」を指しています。他にも「中学生」「先生」のような人を表す時にも、名詞は使われます。
もちろん「心」や「感謝」のように具体的な形はない抽象的な「もの」でも、やはり名詞というカテゴリーに入れることができます。
というわけで、名詞を一番最初に習うときの大雑把な理解として、「もの」や「人」を指す言葉だと理解してください。
名詞とは上級者向けなら「主語になれる語」
では名詞をもう少し専門的に、文法的に定義すると以下のようになります。より完璧を目指す人は、必ずこちらで覚えてください。
名詞は主語になれる
はい、これだけで十分です。さて、名詞は主語になれるとはどういうことか。
先程あげた「ペン」「先生」「感謝」を例に説明します。
ペンが机の上にあった。
先生はとても厳しい。
感謝は言葉にすべきだ。
これらの言葉を主語にして文章を作ってみました。主語になれるとは、付属語の「が」「は」などを下に繋げて文が作れると意味です。その他の「を」「に」「で」などの助詞が続くでも良かったのですが、今回はわかりやすく主語になれるとしておきました。
これ、当たり前すぎて何も特別に見えないかもしれませんが、実は名詞だけの特権なんです。例えば今まで習った動詞、形容詞、形容動詞ではこのようにはいきません。
×食べるは大事だ
(正しくは)食べることは大事だ
×かわいいは正義
(正しくは)かわいいことは正義
×綺麗だは
上のバツで示した語は、無理矢理動詞、形容詞、形容動詞に「は」をつけようとしたところです。「かわいいは正義」などは、広告か何かのキャッチコピーで目にしたことがあるのですが、実際は文法的に正しくありません。(正しくなくても、目を引かせるためにわざとこういう不自然さを狙うことはあり得ます。)
つまり「食べる」「かわいい」「綺麗だ」は、名詞じゃないから主語になれないんですね。
ちなみに次に触れますが、「かわいさ」「綺麗さ」なら主語になれます。これはもともと他の品詞だったものが、名詞化したからです。
今回の講義では大きな枠組みとして、主語になれるものは全て名詞と覚えてください。では名詞を試しに25個ほどあげてみます。
頭、アイスクリーム、三歳、オリンピック、恋、日本、彼、木、岐阜県、もの、こと、明日、地球、大谷翔平、トマト、不安、二メートル、メディア、お前、気持ち、難しさ、強さ、赤、百点、どこ、ところ
はい、まだまだ挙げられますがこんなところで。
中には
こんなものまで名詞なの?
というものがいくつか見つかったと思いますが、どれもきちんと主語にできます。※自然さの点でどうしても主語の文として使いづらい語なら、「を」「で」「に」など、動詞の対象となるような付属語(助詞)で試しても構いません。
上に挙げたこれらの名詞は、厳密に言えば普通名詞・固有名詞・数詞・代名詞・形式名詞に分けることができるので、次回それらの細かい区分けは説明しますが、「品詞名を答えなさい」という問題でしたら、これらは全て「名詞」と答えてください。
紛らわしい転成名詞は主語になれるかどうかで判断
それでは最後に、間違えやすい名詞の例を挙げます。それは、一見動詞や形容詞、形容動詞に見えて実は名詞だったパターンです。
しかし、何度も口酸っぱく言ってきましたが、
主語になれたら名詞
のルールを守れば簡単に見分けられるので安心してください。
それでは3問ほど、名詞はどちらかを問う2択問題を出します。
はい、これらの赤字の部分で、名詞になる方に丸をつけてください。
特に3問目は、綴り自体は全く同じですが用法が異なります。必ず主語になれる方を基準に選んでください。いいですか? 答えはこちら。
形容詞や形容動詞は、「〜さ」をつけることによって、抽象的ではありますが「もの」化されたイメージが湧きますね。ゲームのステータス欄なども、パラメーターとして「強い」ではなく「強さ」などと表記されているはずです。
3問目の「走り」も、綴りこそ同じですが、上の「彼の走り」の方は、もう彼の走る姿が「もの」化されているようなものです。一方、「彼は最後まで走り」の方は、動詞の「走る」が「、」で下の用言にかかろうとした結果、活用しているだけ(連用形)ですので、やはりこれは動詞のままです。動詞は特に語尾では判断がつかないことが多いので、文章中の役割で判断してください。
このようにもともと動詞・形容詞・形容動詞だったものが名詞化されたものを、「転成名詞」と言います。この言葉自体がテストに出ることはありませんが、これらは立派な名詞です。
「元が動作だから動詞だ」のように考えて「動詞」と書くとバツになるので注意してください。語源はそうかもしれませんが、もう主語になれるように「もの」化されてしまった以上、これらは名詞と覚えましょう。
終わりに
では今回のまとめをもう一度ご覧ください。
名詞とは初心者向けなら「人」や「もの」
名詞とは上級者向けなら「主語になれる語」
紛らわしい転成名詞は主語になれるかどうかで判断
今ならこれらの意味がしっかりと理解できましたね?
名詞は入口は易しく見えますが、実は奥が深い世界です。「主語になれる」という定義の部分を意識しながら、品詞名を判別してください。
次回はこれらの名詞をさらに細かく分類していきますので、さらに深く理解したい人はお付き合いください。
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それではまた!