どーも！がこないのクボタです。
今回もリクエストコメントにお答えする単語検証動画シリーズの、ブログ記事バージョン になります。特に動画上では、単語リストの表示は部分的になっておりますので、全リストをゆっくり文字で見たい方 はこちらを参照してください。
今回はYouTube上で寄せられたコメントはこちら。
先に今回の検証結果を簡潔にまとめた表をご覧ください。
4冊の比較表(相対評価)
というわけで今回は、受験英語を超えた枠において圧倒的な評価を獲得したDUO3.0 を中心に、タイトルに示した単語帳合計4冊の見出語単語の検証やレビューなどをしていきます。
今回やりたいこと
今回やりたいことを1枚の図で表したので、まずはこちらをご覧ください。
箇条書きに書いてあるとおりです。2冊同士の比較は大雑把 に、4冊比較から割り出された単語はなるべくリスト内も表示 するので、目次から見たいところだけ飛んでも構いません。
DUO3.0の概要
DUO3.0 の概要はこんな感じ。
初版が2000年3月 ということは、まだ私が現役の頃からあった んですね。当時は全く存在すら知りませんでしたが、実は私自身、この本を大人になってからある程度走破した経験 があります。
この仕事を始める前は音楽活動に勤しんでいたので、単語力は受験時代より衰えていました。だからまずは(受験で教えるという意味での)英語力を取り戻すために、20代半ばで就職した頃、この本でやり直したのです 。その当時の本がこちら。
当時ネット上で(社会人にとって)一番評価が高かった本がこちら だったので、そのまま信じてやってみましたが、なるほどよく考えられているなと感じました 。
コンセプトが表紙カバーに集約されているので引用します。
現代英語の重要単語1600＋熟語1000を重複なしで560本の基本例文に集約
はい、これが全てだと思います。
厳密には総単語数は1572、熟語数は997 ですので、おおよその数ということですね。
ちなみに今回のプログラミングの配列比較では、これら見出語単語1572単語だけでなく、熟語の中からも見出語として他の単語帳にも載っていると判断したものは目視でカウントし、合わせて1769単語としております 。例えば"due to 〜"(〜のために) という熟語の場合、"due"だけで他の単語帳では見出語として載っているものが多いので、今回はこの熟語を"due"として配列に入れました。 これらの基準はあくまでも私の独断ですのでご了承ください。
また、対象レベルはTOEIC600〜780点、大学入試偏差値58〜65、TOEFL60〜90点、英検準１級 と裏表紙にあるので、大学受験専門に作られた本ではありません が、今回は2次試験を対象にした定番単語帳「ターゲット1900」「システム英単語」「LEAP」 を比較対象にします。
DUO3.0と他のレイアウト比較
DUO3.0の見開きレイアウトはこんな感じ。
まず例文が表題的に登場 してから、そこで使われている単語・熟語が各見出語覧にリストアップされている感じで、難易度順ではありません 。
レイアウトは左から見出語、発音記号、（そのページ内の）右側に訳や同義語・反義語、派生語などが全て詰め込まれた配置 になっています。
パッと見開いた印象だけで話すと、非常にぎゅうぎゅうづめな感じがして見づらい。。。 さらに色使いも赤シートで隠す方式にはなっていない ため、見出語を回したい時は何か覆うものを用意して、隠しながらチェックしていく必要があります。
後からこの本の良さを紹介しますが、なんとなくこの開いた第一印象の無骨さが、そのままこの本の特徴を表している気もします 。大学受験向けに作られていないからなのか、それとも2000年当時のレイアウトのままだからこんな感じなのでしょうか、今の感覚で言うと一見さんお断りのこだわりラーメン店のような雰囲気さえ感じます。
試しに"expand" という単語のレイアウトで、4冊を見比べて見ましょう。なお、ターゲット1900とシス単は前回のものを使い回します。
ターゲットとシス単
今回比較した中では、ターゲットだけに派生語として形容詞"expansive"が載っていました 。
次にLEAP
私がLEAPで一番好きな部分は単語の成り立ち説明の丁寧さ です。"ex"で「外に」"pand"で「広がる」 といった説明を非常に多くの単語でつけています。このようなイメージの理解は単語の推測力を鍛えるためにも、全ての単語帳が真似して欲しい ですね。
最後にDUO3.0
DUO3.0の良いところ として、英語での説明が一言ついている点 があります。
簡単な英語でその単語を説明し直す ことは、英語を使いこなす上で必須のスキルなのでここは素晴らしい。
派生語も名詞"expanse"を載せているのはDUO3.0だけ でした。
情報量としては先ほど触れた英英訳の部分が、単語によっては膨大な長さになることがあり 、その部分がなんとなく「ごちゃごちゃした」イメージになっているのかもしれません。
具体的に言えば、高校に上がりたてのごく一般的な生徒 がいきなりこの単語帳を持つと、まずは単語と訳の部分だけ見るような目の動き になるはず。ここで先ほどの英英訳を見た時、英語が得意な生徒なら「なるほど！」、英語が苦手な生徒なら「邪魔だなあ、、、」となってしまうかもしれません。 まあ、万人に受ける単語帳は存在しないので、この本のターゲットは前者に向けられているのでしょう。
ただしレイアウト的にはこれらの旨みを残しつつも、やはり改善の余地もあって欲しい と個人的には感じます。DUO4.0は果たして出るのでしょうか、そのときに期待ですね。
実際に使用して感じたDUO3.0のメリット
さて、先ほど触れたDUO3.0の試練を乗り越え、無事この本でやっていこうと決意されたみなさん に、私が実践した本書の最大限の活かし方 を紹介します。
それはズバリ、
の一言に尽きます。
普通の単語帳だと例えば2000単語あれば例文は2000 、私は正直それでも全部に目を通しますが、人によってはそこまで手が回らない人もいる でしょう。
しかしこの本の例文数は560 、たったの560 ですよ？ 私はこれが途方もない数とは思いません 。
もちろん、意図的に見出語を網羅するよう作られた例文なので、初めての方は見出し語の訳を複数個確認して、覚えてから例文を見る ことになります。例文には文法的な説明もなく、高校レベルの構文が出てくることもあるので、やはりその点は初心者には辛い でしょうが、ぜひこの例文部分を中心に周回 してみてください。
最初のうちは、その例文が訳せたら見出語単語の意味はわかっているとみなし、次に進めばいいです。
ですが慣れてきたら音声版も入手してください 。自分の音読だけでも素晴らしい効果がありますが、隙間時間に垂れ流して聴き続けましょう 。
耳で聞いてもこの例文の訳(イメージ)が湧き出したら、あなたはそれらの単語をリスニング上でも拾えていることになります 。この点は非常に大切で、単語帳を見出語訳として全て暗記していても、リスニングでは拾えなかったという人は多い のですが、そこを克服する訓練になります。
流し聞きだけでは効果が薄いので、ぜひ音読、さらにはシャドーイング、理想を言えば同時に重ねて発音するオーバーラッピング までやってください。
私は当時、百人一首みたいに前半が流れたら、後半部分が浮かんでくるレベルまでやり込みました 。ここまでくると、自分でもその単語がアウトプットできるようになるので、騙されたと思って続けてみてくださいね 。
というわけで一旦まとめると、DUO3.0は入り口で少し難解な部分 がありますが、本当に英語を強化したい人にとっては、極めて効率的に作られた単語帳 です。アマゾンの圧倒的な高評価率や、2000年発売の本が未だに重版されて売れ続け(現在80版)、現在400万部を突破しているのは伊達じゃないということですね。
DUO3.0と各2冊同士で被り検証
それではDUO3.0 を中心にタイトルの単語帳を順番に検証していきます。
2冊の被りは普通これくらい
その前にDUO3.0以外の3冊の単語帳は、そもそも2冊比較だとどれくらい被っているのでしょうか？
まずはターゲット1900とシステム英単語の被りはこんな感じ。
差分は引き算すれば出るので割愛します。
次にターゲット1900とLEAPの被りはこんな感じ。
そしてシステム英単語とLEAPの被りはこんな感じ。
これらの数を覚えておいてください。いいですね？
DUO3.0とターゲット1900の被り
それでは早速DUO3.0とターゲット1900 の比較に入ります。
今回使用する言語はPython 、自然言語処理ライブラリとしてSpacy になります。詳しいプログラミングのコード部分は割愛します。
共通項だけ示すのでテンポよくいきましょう。
今回は大学受験専用本ではないため数は減りました が、それでも半分以上は被っています ね。
DUO3.0とシステム英単語の被り
次にDUO3.0とシステム英単語 の共通項はこんな感じ。
これも半分ちょい。
DUO3.0とLEAPの被り
次にDUO3.0とLEAP の共通項はこんな感じ。
これも同様の傾向。
一応鉄壁や単語王との被りも簡易的に表示しておきます。
今回はやはり５〜6割の被りという傾向 で一致しました。
とはいえこの中身をもう少し詳しく調べるため、4冊同時検証に入ります 。
DUO3.0含めた4冊全体の被り
ではこの図を見てください。
4冊の単語帳の全ての見出し語の中で、共通している数 はこんな感じ。
2冊比較に比べて数が減るのは当然です 。それでも753個は極端に少ない数値ではありません。DUO3.0も2次試験向けの単語はそこそこ収録されていることが予想されます。
4冊の共通単語全リスト
動画では時間の関係上、全ての単語を紹介することはできませんが、ブログは別です。文字の利点を生かして、共通する単語の全リストを見ていただきましょう。縦にかなり長くなるので、見たい方だけ見られるようにするため、袋とじにしておきます。訳は自分で調べてください。
1. aim
4冊の単語帳それぞれの差分
次に今回の4冊の単語帳の差分 をそれぞれ割り出したいと思います。
まずは数を一気にご覧ください。
DUO3.0の数値が極めて高い のが分かります。逆に言えば他の3冊は大学受験の2次試験向けに作られているため、収録単語の被りもDUO3.0と比べて大きくなっているのでしょう。
各単語帳の独自単語をもう少し深掘り
被った、被らなかったには、以下の可能性が考えられます。
1.純粋に難しい単語が多いから被らなかった 2.ユニークな観点から独自の単語を多く載せたから被らなかった 3.簡単な基礎単語を多く載せたから被らなかった
正直1と2は極めて主観的なもの なので、一概に決めることはできませんが、3は以下の観点から客観的に割り出すことができます 。
つまり、ターゲット1200・システム英単語ベーシック・そして中学生向けの単語帳であるターゲット1800に載っている単語を基礎単語 とみなし、これらに載っている単語は除外する ことで、(ある程度は)簡単な単語は省くことができます。
というわけで、早速これら4冊の独自単語から、基礎レベルの単語を省いた数字がこちらになります。
この結果から、DUO3.0(とターゲット1900)には、ユニークな単語が多めに載っている と予想することができます。
基礎を除いた独自単語の全リスト
それでは今回は4冊すべての(基礎を除いた)独自単語を順にリスト表示します。訳は自分で調べてください。どの単語帳を使っていても、これらを追加で覚えればライバルに一歩リードできますよ。
ターゲット1900の基礎を除いた独自単語リスト
1. bid
システム英単語の基礎を除いた独自単語リスト
1. lap
LEAPの基礎を除いた独自単語リスト
1. owl
DUO3.0の基礎を除いた独自単語リスト
1. VCR
DUO3.0の共通テストにおけるカバー率
次にDUO3.0における共通テスト2022のカバー率 を見ていきましょう。
自然言語処理の手順に興味のある方は、こちらの記事を参照してください。
自然言語処理とは？【問題カバー率の検証の流れを説明】
各大学の的中率はどのような基準で調べているのか、興味のある人は読んでください。
その他の3冊は以前の検証からの引用になりますが、結果はこんな感じ。
なんと、DUO3.0が一番高い数値となりました。実はこれには訳があって、DUO3.0には基礎単語が数多く含まれているから です。正確には基礎単語を使った句動詞(熟語のようなもの) が多く含まれているのですが、実用英語における使用頻度から「あえて」基礎単語が多く含まれている のですね。「使える」英語の観点から作られている本の特徴が表れているということになります(これはLEAPにも当てはまる)。
カバー具合は長文中でこう見える
いつもカバー率ばかり話題にしていますが、それで実際に読めると断言できるわけではありません 。文法的な知識や、長文読解力、さらには背景知識や国語力などが総合的に絡んでくるからです。ただし、知らない単語が少なければ少ないほど、それらの力と合わせて読み進める可能性は広がります 。
例えばここに共通テスト2022の長文の某１ページを引用 しました。文量的に一番多く見えるページで、問題を解くつもりはありませんので悪しからず。
ここに今回の2冊の単語帳のカバー部分に色をつけると、このように長文は見えてきます。
ターゲット1900
システム英単語
LEAP
DUO3.0
はい、こんな感じ。全て重ねた図も作ろうかと思いましたが、ごちゃごちゃして訳がわからなくなったのでやめました 。
LEAPとDUO3.0はやはり色のついた面積が大きく見えますね。
基礎単語を除きたい
ただし今回は難単語の割合も見ていきたいので、やはり毎度のことながら中学レベルの単語を省いて見ましょう。
結果はこんな感じ。
それでもDUO3.0は結構残っていますね。共通テストレベルなら、他の3冊とほぼ遜色なく戦えることが結論づけられました。
一応共通テストの的中単語として、DUO3.0のものだけ見ておいてください。基礎が多いとはこういうことです。
1. plastic
DUO3.0は京大英語2020〜22でいくつ的中させたか
それでは以前ターゲット1900とシステム英単語比較で使用した、京都大学2020〜22の英語でいくつの単語を的中させたか をDUO3.0も含めて見ていきましょう。
結果はこんな感じ。
一見LEAPとDUO3.0が飛び抜けて見えますが、やはりこれも基礎単語をある程度含んでいるためです。いくら最難関の英語といえど、やはり英文とは基礎単語が一番多くなるものです。よって毎度のことながら、公平に中学校の教科書レベルの単語を省いてみましょう。
結果はこんな感じ。
はい、今度はターゲットが一番多くの(ある程度のレベル以上の)単語を当てたことになります 。シス単も非常に近い数値で迫っていますが、LEAPとDUO3.0は少し共通テストの時に比べ、差が開いてしまいました 。
以上の点から、DUO3.0の大学受験に出るような難単語の割合は、専門書に比べて若干少ない と予想されます。ただし方向性が違うだけで、DUO3.0も十分難しい単語は多い ですけどね。この本自体が易しいと言っているわけではないので悪しからず。
まあ中身の単語を目で確かめるのが確実かと思いますので、基礎を除いた的中単語をそれぞれリスト表示しておきます。これは難しいと思う単語を自分でピックアップしておいてください 。
ターゲット1900の京大的中単語リスト(基礎除き)
1. absorb
システム英単語の京大的中単語リスト(基礎除き)
1. republic
LEAPの京大的中単語リスト(基礎除き)
1. shrink
DUO3.0の京大的中単語リスト(基礎除き)
1. evolution
まとめ
今回の検証は以上です。まとめはこんな感じ。
今回の4冊は単語帳の中ではかなりの良書なので、あえて特色の差をつけるならこんな感じ。
4冊の比較表(相対評価)
簡単に言えばDUO3.0は最初少し敷居が高いものの、ハマれば大学受験もかなり戦えるし、純粋な英語力を高める点から見れば非常に強力なツール だと言えます。
最後に個人的な意見として、もし今私が受験生だったら、ターゲット1900(ターゲット1400からでもOK)やシス単から次の1冊として追加する でしょう。見出語の訳を覚えただけでは自分のものになっていない単語も多い ですからね。
ちなみに大学生が自分の培ってきた受験英語の力をうまく実用英語に繋げたいとき に、私はこの本をいつも勧めています。それが英検だろうが、TOEICだろうが、留学の準備だろうが、社会人の生涯学習だろうが、この本でそこそこ土台は出来上がる ので、ぜひ例文を活用しながら自分の使える単語に昇華させていってください。
釘を刺しておきますが国公立2次試験、特に最難関レベルでは当然まだまだ知らない単語も出てきます 。単語帳だけに逃げずに、多読や精読、文法力など総合的に鍛えて立ち向かってください 。まあこのブログを追いかければ2次試験レベルの、単語帳に載っていない単語は随時紹介していきます けどね。
最後に今回の記事の動画バージョンはこちら。
はっきりとモチベーションに繋がるので、よかったら高評価やチャンネル登録してね。
ちなみに「1冊でまとめて系」としては同じくらい有名なALL IN ONEシリーズのレビュー、検証もDUO3.0を加えた主要単語帳で行いました。興味のある方はこちらもどうぞ。
ALL IN ONE徹底レビュー1・単語編・DUO3.0他との被りや問題カバー率をプログラミングで徹底検証【ターゲット】【LEAP】
ALL IN ONEのレビューや比較をプログラミングの観点から2回に分けて検証。今回は前半の単語編です。DUO3.0含む主要単語帳との比較やテストにおけるカバー率も検証しました。
というわけで今回はここまで！
