こんにちは、がこないのクボタです。
私は中高生に勉強を教え始めて10数年間、進路の相談に乗ることも多いのですが、今回は「ギリギリで上の高校に滑り込むより、一つ下げて上位をキープしろ」という考え方を紹介します。
なお、これは公立高校に行くことが定番とされている岐阜県内で私自身が勉強を教えていて感じたことであり、都会の名門私立、特に中高一貫校には当てはまらない点も多いのでご了承ください。
タイトルの意味
まず「ギリギリで上の高校に滑り込むより、一つ下げて上位をキープしろ」具体例を上げます。
私の教えている岐阜市には、普通科の難易度の目安として、「岐阜5校」という言葉があります。上から岐阜高校、岐阜北高校、加納高校、岐山高校、長良高校となっており、普通科を目指す受験生はとりあえずこの中から、より上へ上へと目指すことになります。
具体的な偏差値や難易度の言及は今回は避けますが、例えば岐阜高校にギリギリ一番下のラインで滑り込んでその後も学年の下位をさまようくらいなら、岐阜北高校(もしくは加納高校)に余裕を持って入り、その中で勉強を頑張って上位をキープする方が良いという考え方です。
よほどのこだわりがない限り、私はこの選択肢をお勧めします。
塾や予備校にとってはより良い進学実績の方が見栄えが良く、宣伝にもなるのは間違いありません。しかし中学〜高校まで通しで教える身として生徒の将来を考えると、何が何でも上の高校に突っ込ませるというやり方には抵抗を感じます。
メリット1【そもそも合格しやすい】
まず当たり前ですが合格しやすい、このメリットは大きいです。
上の高校にギリギリ合格できる力というのは、感覚的には当日の出来次第で半々くらいの確率で不合格になることを指します。
目安は普段の外部模試、岐阜県で言えば岐阜新聞テストの志願者順位などで確認できます。そこで志望校の最上位に位置する人は、当日少し振るわなかったくらいでも十分合格圏内ですが、ボーダーギリギリの人が当日コケてしまうと、それは不合格を意味します。
私は個人的に学校名にこだわるタイプではないので、今回のタイトルのような考え方を持っていますが、受験前の最終面談でそれを押し付けることはしません。
多少のリスクは負ってでも上のレベルで勝負してみたいという生徒は、100パーセント尊重します。
ただし現実として当日の出来次第で私立にも行く可能性は出てきますので、その覚悟はあるか、さらにそうなったとして絶対に後悔はしないかの確認は取ります。
今回テーマにした志望校を下げるというのは、何も逃げの姿勢ではありません。
私自身も「直前までは絶対に志望校を下げるな、下げるとどんどん成績も下がるから。」と普段から口にしています。
その状態でギリギリまで勉強を追い込んだ最終段階で、それでも現実的な壁が出てきたときに、その子自身とその家族(経済的な側面も含めて)に余裕を持たせることが大切だと感じています。
メリット2【高校の勉強についていきやすい】
この考え方は入学時の試験よりもむしろ、合格後の高校の勉強内容の方がずっと大きく影響してきます。
ギリギリで上の高校に進んだ生徒、特に英数国以外の科目で点数を稼いで滑り込んだ生徒は、早い段階から英数の授業で苦労し始めます。
理由は単純で、理科や社会は最悪今までのことが完全に抜け落ちても、高校から真面目に勉強すれば同じ位置からスタートできるのですが、英語と数学は中学レベルですでに遅れをとっていると、そのハンデを背負ったまま高校の勉強に入っていくことになるからです。
それに対して余裕を持って入った高校の場合、入学時点で自分と同じか少し下の生徒に向けて、英語や数学の授業は進んでいくでしょう。よって真面目に授業についていけば、出足でつまずく確率はグッと低くなります。
言うまでもない事ですが、どちらも学校の勉強を真面目に頑張った前提です。
前者はそれでも周囲の理解力についていけず、早い段階で苦手意識を植え付けられ、後者はそのリスクが少なくなると言う意味です。
高校に入ってサボってしまえば、どちらのケースも学年最下位まっしぐらです。職業科に進む生徒も含む中学なら、多少サボっても(順位的に)大丈夫だった人も、同じサボりを普通科の高校で繰り返すと底辺まっしぐらなので注意しましょう。
メリット3【先生の手厚いサポート・推薦面】
これもメリット2の延長にある事ですが、学校の先生に手厚く教えてもらえ、評定も高く、学校の指定校推薦の枠にも入りやすい点があります。
普通科なら案外、中堅校でも地元の国公立の推薦枠をいくつか持っています。
その枠が仮に10あるなら、高校1年生の頃から中間、期末の学年順位10番以内を狙い続ければ良いのです。
これは難しく感じるかもしれませんが、高校受験後に一度勉強を緩めてしまう生徒がほとんどなので、入学後からしたたかに中間、期末勉強を頑張っていれば不可能ではない目標です。
学年順位上位の生徒は先生にも好印象を抱いてもらいやすく、そういった意欲的な生徒の質問にはどんどん答えたい、と思うのも教える側の否定できない一面です。
万が一推薦の枠に届かなくても、学年の上位をキープし続けた時点で、その生徒は学習に対してある程度の自信がついています。月並な言い方をすれば「努力すれば報われる」といった感覚が身についているので、共通テスト、二次試験と普通に受験したとしてもある程度戦えるでしょう。
逆に上位の高校にギリギリで入って最下位付近をさまよい、最悪やる気をなくしてしまった生徒は、先生に目をかけてもらうこともなく、ひたすら勉強にネガティブな感情を抱き続けたまま3年間を終えることになります。
たまに「1つ上の学校で最下位でも、下の高校なら普通に真ん中だから大丈夫」と変なプライドを持つ生徒がいますが、これは違います(灘など超名門私立は除く)。
岐阜県の公立レベルで話すと、岐阜高校でやる気をなくした最下位の生徒は、長良高校の上位層にも負けます。入学時の序列にこだわり負けを認めたくないのでしょうが、その後3年間の努力次第で学力の逆転なんてすぐに起こります。プロ野球選手だって高校時代無名だったすごい人はたくさんいます。どの世界も同じなのです。
というわけで今回は、余裕を持って志望校を選んだ際のメリットを3つほど上げました。
もちろんこの選択肢にはデメリットや合う人・合わない人が出てきますので、次回はその点についても述べたいと思います。
それではまた。
-
【高校選び】ギリギリで上の高校に滑り込むより、一つ下げて上位をキープしろ後編【デメリット2つ】【合う生徒と合わない生徒】
ここでは私の高校選びに関する考え方を紹介します。