どーも！がこないのクボタです。
今回もリクエストコメントにお答えする単語検証動画シリーズの、ブログ記事バージョン になります。特に動画上では、単語リストの表示は部分的になっておりますので、全リストをゆっくり文字で見たい方 はこちらを参照してください。
今回YouTube上で寄せられた質問コメントはこちら。
というわけで今回は、明治大学政経学部2020〜2022の問題を中心に、ターゲット1900/1400/1200、システム英単語/ベーシック、LEAP/ベーシック、逆転英単語のカバー率 をプログラミングの配列機能や自然言語処理によって検証していきたいと思います。
今回やりたいこと
今回の流れを1枚の図で表したので、まずはこちらをご覧ください。
箇条書きに書いてあるとおりです。各単語帳の特徴は別記事でもよく触れているので、今回は割愛させていただきます。
明治大学2022出題形式
それではまずは明大英語の出題形式をご覧ください。
なお今回の出題形式は、手元にあるもので一番新しい2022年度のものを参考にしています 。
大問は全部で3つ 、どれも長文となっており、その中でさまざまな問題が出される方式です(3つ目の短めの長文は全て英語)。
問題のバリエーションは多岐にわたりますが、基本的には私立らしい選択式の問題がほとんど を占めています。長文中にカッコが空けられ、そこに適する前置詞や単語(熟語)を入れていくスタイル はもちろんのこと、"True or False"の正誤問題 や共通テストのようなオーソドックスな解釈問題 などなど。ここでは単(熟)語力で稼げる部分もいくつか見られるので、例を挙げます。
問題例
典型的な単語を別の単語で言い換えるような問題 です。長文中における意味なので、本来この単語だけで解くものではない のですが、今回はご了承ください。
(a)の"speculation" について。一見単語帳には載っていない難単語に見えますが、動詞版の"speculate"(推測する)は、今回使用する2次試験レベルの主要単語帳には共通して載っています 。同じことを"suppose"(と思う、推測する)の名詞形"suposition"で解釈できれば、答えは(4) になります。
(b)の"coin"(を作り出す、発明する)は今回LEAPだけに載っています！ それ以外の単語帳なら"coin"をおそらく「硬貨」の意味しか知らない状態で受けることになりますが、そこは文脈上で判断することで答えは(2) になります。
このような「単(熟)語力があれば解ける問題」は、私の判断では10問以上は確認 できました。もちろん長文を読み進める上でも有利に働くので、日頃から単語力はしっかり強化しましょう。
明大英語の記述部分 はどうかと言えば、全体の中で1問ずつ「並び替え問題」「日本語説明問題」「和文英作文問題」 が確認できました。先ほどあげたような記号問題よりは配点が高い と思われますので、日頃から口酸っぱく言っていますが、英単語だけに執着し過ぎないで、総合的な面から英語学習 は進めてください。
明治大学2020〜2022における主要単語帳4冊の的中率
では次に、明治大学政経学部2020〜2022における主要単語帳4冊における主要単語帳4冊の的中数とその率 を見ていきましょう。
自然言語処理の手順に興味のある方は、こちらの記事を参照してください。
自然言語処理とは？【問題カバー率の検証の流れを説明】
各大学の的中率はどのような基準で調べているのか、興味のある人は読んでください。
今回も主要単語帳は、国公立2次試験向けとして同じくらいのレベルを対象にしている、ターゲット1900、システム英単語、LEAP、逆転英単語2000 とさせていただきました。
的中させた単語の数と的中率はこのようになります。
ターゲット1900が384個 、シス単は401個 、LEAPが一番多く482個 、逆転英単語2000は447個 という結果になりました。やはり大学受験、特に2次試験向けに作られた単語帳だけあって、まずまずの数 に落ち着きましたね。ちなみに今回は３年分をまとめているので、単年あたりは3で割った数値 だと思ってください。
簡単な単語の的中は省きたい
この結果だけ見ると「的中数の多いものは優れていて、的中数の少ないものは劣っている」という印象を与えかねません 。そこで、次のフィルターにかけてみます。
つまり、中学校の教科書として有名なNEW HORIZONとNEW CROWNに乗っている単語を基礎単語 とみなし、これらに載っている単語は除外する ことで、(ある程度は)簡単な単語は省くことができます。
というわけで、早速これら4冊の的中単語から、基礎レベルの単語を省いた数字がこちらになります。
はい、今回はびっくりするほど4冊の差分が横並びになった ことがわかります。このフィルターを通すことで、LEAP英単語の的中単語には基礎も多く含まれていたことがわかりますね 。ただし残った単語の数はどれも大差ありません。つまりどの1冊を手にとっても、極端に損をするということはなさそう ですね。しっかりと自分の選んだ1冊を隅々まで極めましょう。
とはいえやはり的中させた中身を見ないと判断できません 。今から的中単語を順番にリスト表示しますので、すらすら訳が出てくるか確かめてください。
ターゲット1900が当てた基礎を除いた単語
1. avoid
システム英単語が当てた基礎を除いた単語
1. appeal
LEAPが当てた基礎を除いた単語
1. profit
逆転英単語2000が当てた基礎を除いた単語
1. indulge
長文中ではこう見える
いつもカバー率ばかり話題にしていますが、それで実際に読めると断言できるわけではありません 。文法的な知識や、長文読解力、さらには背景知識や国語力などが総合的に絡んでくるからです。ただし、知らない単語が少なければ少ないほど、それらの力と合わせて読み進める可能性は広がります 。
例えばここで明大英語2022の大問2、長文の某１ページ引用します。問題を解くつもりはありませんので悪しからず。
ここに今回の各単語帳のカバー部分に色をつけると、このように長文は見えてきます。
ターゲット1900
システム英単語
LEAP英単語
逆転英単語
はい、こんな感じ。全て重ねた図も作ろうかと思いましたが、４色を並べると訳がわからなくなったのでやめました 。
これら色のついた部分は、もちろんその前から知っていたという単語もあるでしょう。しかし、「この単語を知らなかったら致命的だった」と言えるものも何個かは含まれているはず です。特にそれが傍線部だったら点数に直結してきますね。
単語帳とは必ずしも当たるわけではありませんが、安心感を得るための保険のような側面もある ことを覚えておきましょう。
下位バージョン4冊における比較
それでは次に気になるのが、各単語帳(逆転英単語除く)の
ですよね？
先に断っておきますが、私はいつも
という問いには、
という言い方しかしません。単語帳だけで合格できるなんて甘い世界ではない からです。ここで行う検証も、あくまでも総合的な長文力、文法力、さらに国語力や論理的思考力 まで加味した上で、合格ラインに滑り込めるかどうかを基準に「戦える」と表現していきます のでご了承ください。
というわけで明治大学政経学部2020〜2022における(ターゲット、シス単、LEAPの)下位バージョン4冊の的中数とその率 を見ていきましょう。
結果はこんな感じ。
どれもとんでもない数に跳ね上がっていますね。予想はつくと思いますが、基礎単語が多い下位バージョンだからこそ の現象と言えるでしょう。
簡単な単語の的中は省きたい
では毎度のことながら、基礎単語フィルターを用意します。
というわけで、これら4冊の的中単語から、基礎レベルの単語を省いた数字がこちらになります。
はい、やはり最初に試したレギュラー組と比べて、随分と数が減ってしまいました。それでも200以上をキープしたターゲット1400とシス単ベーシック は、健闘しています。
とはいえやはり的中させた中身を見ないと判断できません 。今から的中単語を順番にリスト表示しますので、実践レベルか心もとないレベルかはみなさんが判断してください。
ターゲット1400が当てた基礎を除いた単語
1. colleague
シス単ベーシックが当てた基礎を除いた単語
1. claim
LEAPベーシックが当てた基礎を除いた単語
1. physical
ターゲット1200が当てた基礎を除いた単語
1. promote
ターゲット1400だけで戦えるか
それでは簡単に各下位バージョンの単語帳だけで戦えるかを判断していきましょう 。まずはターゲット1400 。
ターゲット1900と1400の２冊比較 を簡単にします。
的中させた単語の共通項と差分 はこちら。
この中で注目すべきはただ1点。ターゲット1900だけが当てた75単語 です。中身はこちら。
1. category
これらの数は3年分なので、単年あたりは3で割ってください (複数回受験すれば、その回数分掛け算)。
もちろん、これらの単語を知らない状態で本番を受ければ不利 です。しかし問題は、ある程度戦えるかどうか ですよね。
それでは先ほどの本文を使って、上位版で色付けした部分から、このリストに該当するものを囲ってみます 。つまりそれこそが、ターゲット1400だけでは補いきれなかった単語 となります。
このページだけの偶然かもしれませんが、たったの2個 。一番最初に問題で触れた"speculation"(推測)のような点数に直結する単語も、ターゲット1400では"speculate"として見出語に収録されています 。
以上の点から、明大英語においてターゲット1400は戦える と私は判断しました。
リンク
ターゲット1200だけで戦えるか
次に同じ会社のさらに下位バージョンであるターゲット1200 。
ターゲット1900と1200の２冊比較 を簡単にします。
的中させた単語の共通項と差分 はこちら。
この中で注目すべきはただ1点。ターゲット1900だけが当てた205単語 です。中身はこちら。
1. passion
これらの数は3年分なので、単年あたりは3で割ってください (複数回受験すれば、その回数分掛け算)。
それでは先ほどの本文を使って、上位版で色付けした部分から、このリストに該当するものを囲ってみます 。つまりそれこそが、ターゲット1200だけでは補いきれなかった単語 となります。
これだけ枠で囲まれた単語が1ページ内で出てくると、流石に読み取り精度に支障が出る でしょう。さらに最初に問題で触れた"speculation"(推測)のような点数に直結する単語も、ターゲット1200では動詞形の"speculate"としても載っていないので解けません 。
以上の点から、明大英語においてターゲット1200はかなり苦しい と私は判断しました。
シス単ベーシックだけで戦えるか
次はシス単ベーシック 。
システム英単語とベーシックの２冊比較 を簡単にします。
的中させた単語の共通項と差分 はこちら。
この中で注目すべきはただ1点。上位版だけが当てた59単語 です。中身はこちら。
1. digit
これらの数は3年分なので、単年あたりは3で割ってください (複数回受験すれば、その回数分掛け算)。
もちろん、これらの単語を知らない状態で本番を受ければ不利 です。しかし問題は、ある程度戦えるかどうか ですよね。
それでは先ほどの本文を使って、上位版で色付けした部分から、このリストに該当するものを囲ってみます 。つまりそれこそが、シス単ベーシックだけでは補いきれなかった単語 となります。
今回"autonomous(自治の)"や"antiquity(古代)"が囲われていますが、そもそもこれらは他の上位版はどれも当てていませんし、仮に分からなくても文脈にはほぼ影響がありません。そして一番最初に問題で触れた"speculation"(推測)のような点数に直結する単語も、シス単ベーシックでは"speculate"として見出語に収録されています 。
以上の点から、明大英語においてシス単ベーシックは戦える と私は判断しました。
リンク
LEAPベーシックだけで戦えるか
最後にLEAPベーシック 。
LEAPとベーシックの２冊比較 を簡単にします。
的中させた単語の共通項と差分 はこちら。
この中で注目すべきはただ1点。上位版だけが当てた96単語 です。中身はこちら。
1. appeal
これらの数は3年分なので、単年あたりは3で割ってください (複数回受験すれば、その回数分掛け算)。
それでは先ほどの本文を使って、上位版で色付けした部分から、このリストに該当するものを囲ってみます 。つまりそれこそが、LEAPベーシックだけでは補いきれなかった単語 となります。
今回一番悩むレベル(読めなくなるほどでもない)ですが気になる点として2つ。得点に直結した下線部"coin(を発明する)"が、ベーシック版には載っていません 。さらに最初に問題で触れた"speculation"(推測)のような点数に直結する単語も、LEAPベーシックでは動詞形の"speculate"としても載っていないので解けません 。
以上の点から、明大英語においてLEAPベーシックは割と苦しい と私は判断しました。
まとめ
今回の検証は以上です。まとめはこんな感じ。
箇条書きの通りです。
今まであやふやな基準で語られてきた部分(下位バージョンを自分ならどう判断するか) を、今回から詳細に検証することにしたので、もう語ることは残っていません笑
もし他の教科が強くて英語はそれなりでいい と相談されたなら、私ならシス単ベーシックをお勧めしますかね 。レイアウト的にはターゲット1400の方が好きですが。この２冊が下位バージョンでは限りなく上位バージョンに近い印象 です。
また単語検証企画において本末転倒な言い方にはなりますが、大学受験の英語は単語帳を覚えるだけで合格できるような甘いものではありません 。繰り返しにはなりますが、文法の知識や長文読解力、読むスピード、論理的思考、背景知識、国語力、、、さまざまな能力の組み合わせで高得点が取れる ように作られています。
単語だけに逃げず、バランスの良い学習を心がけてください。
今回の記事の動画バージョンはこちら。
はっきりとモチベーションに繋がるので、よかったら高評価やチャンネル登録してね。
最後に今回取り上げた単語帳のどれにも載っていない厳選難単語を、今回は20個ほどピックアップ して、辞書を引き直しておきました。語彙力強化に活用してください。
単語帳に載っていない厳選20単語
1. perspiration (名)発汗・汗
それでは今回はここまで！
