どうも!がこないのクボタです。
今回は中学国語文法「品詞の分類」の第6回になります。今回は、活用しない自立語の中でも特に重要な「名詞」の後半になります。
前回名詞に関する基本的な考え方は説明しました。まだの方はそちらを先にご覧ください。
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名詞の基本をマスターせよ!名詞編1・品詞の分類5【中学国語文法】
中学国語文法の中でトップレベルに大切な単元である「品詞の分類」の中でも非常に大切な品詞「名詞」を、現役塾講師のクボタが分かりやすく解説します!
それでは本日のまとめを先にどうぞ。
「普通名詞」は一般的な物事の名前
「固有名詞」は1つしかない固有(オリジナル)の名前
「数詞」は数を表すもの全て
「代名詞」は人や物事を(代わりに)指し示す
「形式名詞」はそのものの意味が薄れたおまけ
この単元の前に、「自立語と付属語」を完璧に抜き出せることが大前提となるので、そちらがまだ不十分な方は以前の記事をご覧ください。
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自立語と付属語の抜き出しは、結局文節・単語分けって話【中学国語文法】
中学国語文法の中で大切な単元である「自立語と付属語」を、現役塾講師のクボタが分かりやすく解説します!
また、まだ10品詞の名前があやふやな方は、先に前回紹介した導入編をご覧ください。
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10品詞をまずは大雑把に理解しろ!品詞の分類1・全体の概要と導入編【中学国語文法】
中学国語文法の中でトップレベルに大切な単元である「品詞の分類」を、現役塾講師のクボタが分かりやすく解説します!
それではやっていきましょう。
「普通名詞」は一般的な物事の名前
前回紹介した、活用しない自立語である名詞。簡単に言えば「もの」や「人」、文法的な言い方をするなら「主語になれる語」だと説明しました。
品詞名を答えなさいという問題なら、「名詞」という名前だけ覚えておけば問題ないのですが、名詞は厳密には、大きく分けて5種類に分けられます。(前回紹介した転成名詞は除く)
最初に紹介するのは「普通名詞」です。簡単な定義としては、
一般的な物事の名前
となります。
いきなり「一般的」と言われてもピンとこないので、普通名詞の例を挙げます。
中学生、人間、町、空、犬、猫、宇宙、あいさつ、服、物語
これらは一般的な「もの」や「人」を表す語になります。「中学生」と「犬」を例を挙げると大事なのは、
中学生1人1人、犬の1匹1匹の名前を表しているのではなく、一般的(総合的)な括りとしての「中学生」「犬」を表している点です。
これは、後から説明する「固有名詞」の定義と見比べれば違いがはっきりしますので、先に進みます。
「固有名詞」は1つしかない固有(オリジナル)の名前
先程、一般的な動物の種類を表す語として、「犬」を紹介しました。
ここで、あなたが仮に犬を飼ったとします。いつまでも「犬」と呼び続けることはないですよね? おそらくすぐに、その犬に名前をつけて呼び始めるでしょう。例えば「ポチ」「シロ」「クロ」などなど。
これらは他の犬と区別して、その犬だけにつけられたオリジナルの名前です。もちろん「ポチ」「シロ」「クロ」は、他の犬にもつけられがちなありふれた名前かもしれませんが、あなたにとってはたった1匹その犬を指す「ポチ」「シロ」「クロ」です。このような1つや1人だけを指す名前を表す名詞を「固有名詞」と言います。
何もこれはペットの名前に限ったことではありません。人の名前、町の名前、国の名前、山や川につけられた名前、、、これら固有名詞に当てはまる例を挙げておきます。
ポチ、ケンタ、久美、大谷翔平、富士山、長良川、東京大学、アメリカ合衆国、岐阜県、中日ドラゴンズ
普通名詞と固有名詞の違いは必ず完璧に理解してください。
「数詞」は数を表すもの全て
次に「数詞」は非常にシンプルです。数を表していればそれが個数だろうが、距離だろうが、時間だろうが、順位だろうが、テストの点数だろうが、全て「数詞」となります。ここは簡潔に例をあげて終わります。
三人、五メートル、四時、五百円、八十点、三杯、一位、五級、三年生、二十歳
「代名詞」は人や物事を(代わりに)指し示す
次に「代名詞」は、英語で馴染みのある言葉かもしれません。
例えば「トム」という男性を表す固有名詞があったとして、文章中で何度も「トム」と書き続けるのは面倒です。英語なら「彼は」を表す “he”や「彼を」を表す”him”を中1で教わるでしょう。
日本語的に言えば、その「彼」こそが、「代名詞」の部分になります。
これは何も、英語で出てくる「彼」や「彼女」、「それ」や「それら」だけではありません。特定の人を(名前の代わりに)指して表す言葉は代名詞です。そして日本語には、自分(一人称)や相手(二人称)を表す代名詞が豊富にあるので、多めに例を挙げます。
私、俺、あたし、僕、あなた、君、お前、彼、彼女、私たち、拙者、吾輩、それ、それら、これ、あれ、どれ、そこ、ここ、あそこ、こっち、あっち、そっち、どっち
たまに、人を指すから「中学生」も代名詞と書く人がいますが、これは間違いです。中学生はあくまでも一般的な種類を表す言葉で、目の前の人に対して、名前の代わりに使う言葉ではありませんので、注意してください。
「形式名詞」はそのものの意味が薄れたおまけ
最後に少しややこしい「形式名詞」について。漢字が示す通り、「形式的なもの」を表す名詞です。この「形式的なもの」のイメージを持ってもらうために、先に例を挙げます。
100点を取るなんて、立派なものだ。
このペンは私のものです。
今帰ったところです。
彼言ったことは本当だった。
上にあげた「もの」「ところ」「こと」は、本来の物体を表す「物」、場所を表す「所」、事象を表す「事」の意味では使っていません。本来の意味が薄れ、補助的に使われている言葉となり、これらを「形式名詞」と言います。
最初はこのように、文中で、特にひらがなでおまけ的につけられがちな「こと」「もの」「ところ」は形式名詞(の可能性が高い)と覚えましょう。
形式名詞ではない「こと」「もの」「ところ」
ただしこれらの言葉が、きちんとそのものの意味を持って使われた場合は別です。例えばこのような例。
ものを大切にしなさい。
休憩できる所を教えてください。
ことが次第に大きくなった。
これらは「もの」自体を意味する「もの」、場所という意味で「所」、事態を表す意味で「こと」を使っています。特に単体ででてきたら、そのものの意味で使われている可能性が高いと覚えておきましょう。
その他の形式名詞の例
最後のに発展レベルとして、「もの」「こと」「ところ」以外の形式名詞を紹介して終わります。本来の意味が薄れた形式的なイメージをできるだけ持って覚えましょう。
彼の言ったとおりになった。
あのとき言ったはずだ。
明日きちんと説明するつもりです。
起きている間に、宿題を済ませよう。
そんなわけないだろう。
終わりに
では今回のまとめをもう一度ご覧ください。
「普通名詞」は一般的な物事の名前
「固有名詞」は1つしかない固有(オリジナル)の名前
「数詞」は数を表すもの全て
「代名詞」は人や物事を(代わりに)指し示す
「形式名詞」はそのものの意味が薄れたおまけ
今ならこれらの意味がしっかりと理解できましたね?
名詞は入口は易しく見えますが、実は奥が深い世界なのです。次回は、活用しない自立語の連体詞と副詞をセットで説明します。それではまた!