こんにちは、がこないのクボタです。
私は普段本業として、中学~高校の英語と中学国語を教えているのですが、本来の専門は英語です。
大学時代から外国語学部英米学科を選んだり、普段から音楽など英語圏の文化に慣れ親しんだりする中で、英語を教える仕事に就くのは当然の流れなのですが、ある時から中学の国語も担当し始めました。
今回は国語の重要性について書きたいと思います。
国語を教えることになった経緯
最初のきっかけは文系科目で人手も足らず、掛け持ちせざるを得なかったという経緯で、国語を教えた経験は全くありませんでした。
教科書の読み取りと国語文法を授業で教えていくにあたり、大昔の受験生だったころの知識しかなかった私は、最初のころは毎回授業準備に時間がかかっていました。
しかし何年も授業を続けていくうちに、特に中学国語文法は重要かつ効率の良いポイントを、自分でまとめて話す能力が身についてきました。
人に教えるつもりで勉強するって大事ですね。
ちなみにYoutubeの授業動画でも、私のチャンネルでは国語文法の方が、圧倒的に英語よりも再生数が多いです。
理由は個人的には2つあると思っていて、1つは英語講師の数の飽和状態とレベルの高さで、Youtubeには帰国子女やTOEIC満点講師、知名度のある有名予備校講師の授業がある中では、私の動画はクオリティ的にまだまだ向上させる必要があります。
それに対して国語について考えてみると、もちろんレベルの高い講師の動画は多いです。しかし中学国語文法に絞ると、英語ほど競争率は高くないことが判明し、私の授業動画でもある程度通用することが分かりました。特に一番再生されている「助詞の見分け方」の動画では、本当にたくさんのコメントをいただいており、それもモチベーションになって国語動画は今も作り続けています。
国語力がネックで伸び悩む生徒を見てきて
さて、話を戻します。
仕事では国語も教え始めたのですが、それとは別に普段生徒と接していく中で、私は生徒と打ち解けるためによく関係ない教科も勉強して会話に入っていこうとします。昔はそれで、生徒たちと一緒に私も大学入試センター試験を受けに行ったことがあるくらいです。(文系5教科7科目で、結果は8割半ばでした。)
例えば高校生の日本史を一緒に見ている時、または生物の浸透圧の単元を見ている時、生徒が揃って口にするのが、
「解説に書いてある日本語が分からない。」
という内容でした。
驚いたことに、中学では5教科無難にこなしてきた生徒でも、高校生になると一定の割合でこの現象に陥ります。
高校生になると中学とは違い、学校では同じくらいのレベルの生徒が集まっているので、学校の授業のスピードも格段に上がります。
ゆっくり教科書を進めて、何度も何度も復習をしてくれる中学校時代、もしかしたら「いつまでここやってるの?」と退屈を感じた生徒もいるでしょう。
高校は逆です。予習であらかじめ教科書を勉強しておくことが大前提、覚えるべき内容も中学とは比べ物にならないくらい多く、前の黒板では全ての問題に触れる時間もないことがよくあります。だから先生が大事な問題だけ授業で触れて、
「あとの問題は解説を読んで答え合せしておくこと。」
と生徒に任せる場面も増えてきます。
ここで「解説の日本語が読めない」生徒が脱落していくのです。
これはもちろんその科目の知識不足、理解力不足からくる「読めない」も含むのでしょうが、もっと根本的な部分で「何を言っているのか分からない」生徒がびっくりするくらい多かったのです。
英語も高いレベルを目指すなら国語力は必須
もちろん英語も、国語力が乏しい生徒は一定のラインで壁に当たります。どんなに単語を覚えていても、どんなに文法でネクステやアップグレードが解けたとしても、長文問題の読解や記述問題には国語力が関係してきます。
中学までは平易な内容の英文がほとんどです。例えば「ボランティアをする話」だったり、「部活で思うように勝てない時があったけど、人からアドバイスをもらって乗り越えた話」だったり、とにかく展開が読めるというか、基本的には肯定的に終わる話がほとんどです。
しかし高校では、急に長文の精神年齢が上がるとでもいいましょうか、抽象的な概念だったり、リアルタイムの国際政治問題だったり、論文や科学など理系内容の文章だったり、急に長文の対象年齢が上がる気がします。ここで、生徒に質問される内容で少なくないのが、
「この解説の日本語訳って、どういう意味ですか?」
というものです。特に外部模試を受けた後、自分で自己採点をしている生徒がこのような質問をしてきます。つまりここでの「わからない」は、英語の文構造や文法がわからないのではなく、
日本語訳自体の意味がわからない
という状態に陥っているのです。
もちろんこのレベルの長文になると、普段から培ってきた教養の量や質も大きく関係してきます。
実際私が教えてきた生徒の中で東大に合格した女の子は、小・中の頃から5教科以外のところでの好奇心が抜群でした。勉強に関係ないようなちょっとしたことでも、すぐに質問してくるような生徒でした。例えばちょっとした政治のことだったり、国際問題のことだったり、何気なくニュースでやっていたようなことが、忘れた頃に英語の長文で関係してくる感じですね。
国語力は全ての源
というわけで、今回は他教科と国語力の関係について書いてみました。
「じゃあその国語力を高めるには」
については非常に難しいテーマで、いつかまたしっかりと考えてみたいと思います。例えば思いつくだけでも、月並みな言い方ですが、
本をたくさん読む(活字に触れる)
何でもいいので自分の言葉でアウトプットする機会を増やす
論理的思考で物事を考える
抽象的なものや概念、または答えの出ない問題を長考する
など、たくさん出てきます。
どれか一つというよりも、国語力のある生徒はこれらが自身の生活環境と複合的に結びついて、いわゆる国語力が鍛えられていったのだと思います。幼少期からそんな環境で育ってないよと諦めないで、今からでも遅くないと思って取り組んでみることをお勧めします。それではまた!