こんにちは、がこないのクボタです。今回は中学国語文法の中のひっかけ問題、「らしい」の見分け方について説明していきます。今回の対象レベルは高校入試を控えた受験生レベルですが、国語文法の単元で区別すると「助動詞」を習った後なら問題なく理解できます。また今回は品詞レベルの話をするので、「品詞」の単元を習った後の中学2年生も少し頑張れば理解することができます。
次の「らしい」を文法的に説明しなさい。
それではまずこの問題を見てください。
文法的に説明しなさいとは、高校以上の国語(特に古典)でよく聞かれる形式です。基本的には品詞名を、更に用言(動詞・形容詞・形容動詞)ならその活用形まで、助詞や助動詞ならその用法まで答えれば問題ありません。とにかく相手に伝える為に、出来るだけ詳しく書けば問題ないです。
今回は「高校生らしい」と言う全く同じフレーズを並べてみましたが、この２つの「らしい」は、全く違う用法です。自分の言葉でいいので、この2つの「らしい」がすでに完璧に説明できる方は、もうこの記事を読む必要はありません。しかし、少し曖昧だと感じる方はここでしっかり理解しましょう。
一番有名なのは推定の助動詞「らしい」
そもそも「らしい」と言う言葉は、中２の最後〜中３の前半において「助動詞」という単元で「推定の助動詞」として習います。覚えていますか？
推定とは「(何か根拠があって)推測する、予想する」という意味です。根拠とは自分で得た情報かもしれませんし、他人が言っていたことかもしれません。大事なのはそれらの根拠を、最終的には「自分が」判断して「〜らしい」と推測しているのが大事です。では試しに推定の助動詞を使って、いくつか例文を書いてみます。
こんな感じで、普段私たちが当たり前のように「らしい」をつけて文を作ってみれば、推定の助動詞はいくらでも出てきます。
推定の見分け方は、頭で「どうやら〜」と補う
先ほども述べましたが、推定はその漢字が表す通り「(根拠があって)推測する、予想する」ニュアンスです。会話なら雰囲気で、このニュアンスは感じ取れるでしょうが、もし文字だけ見た時に不安な方は、
頭に「どうやら〜」
と補ってみてください。
先ほどの例で補ってみます。
どれも意味がスムーズに繋がりますね。これらのフレーズを補うことで、「多分こうだろう」と推測するニュアンスがより強調されます。そして、そこでスムーズにつながった「らしい」は推定の助動詞と分類することができるのです。
それでは冒頭の問題で「どうやら〜」と補ってみましょう。
はい、これで上の文章の下線部「らしい」は「推定の助動詞」と判断することができました。
推定の助動詞以外の「らしい」
では、下の問題の「高校生らしい」は何を表しているのでしょう？ここでは何かを補うというよりも、フレーズの意味そのものを考えてみます。
次の文の「〜らしい」をみてください。全て「推定の助動詞」では不自然になるものばかりです。
(イ)の「〜らしく」は「〜らしい」が連用形に活用していますが、考え方は同じです。これらの表現は全て、何かを推測するニュアンスは全く感じ取れません。しかしこれらの意味は何となくわかりますよね？今回は「〜らしい」の部分を「〜にふさわしい」と置き換えてみましょう。
「〜にふさわしい」は形容詞の接尾語になる「らしい」
このように、例えば「春にふさわしい」と変換できる「春らしい」は、どんなイメージを持ちますか？
「春が近くなってきた」「春めいてきた」「春っぽくなってきた」
このような「状態」がイメージできます。今から重要なことを言いますよ？
これらは全て、「春」から始まる1つの状態、つまり形容詞なのです。
よって「春らしい」が1つの(言い切りが「イ」段の)形容詞と見ることができます。「彼らしく」「男らしい」「女らしい」も同様に、まとめて1つの形容詞となります。
何度も言いますが。「〜にふさわしい」でしっくりきた場合の「らしい」は、
その前の語から含めて1つの形容詞です。
「らしい」だけで形容詞と答えないでください。よってもし、この「らしい」だけで文法的に説明せよと言われたら、
「形容詞の一部」もしくは「形容詞の接尾語」と答えておきましょう。
では冒頭の問題に戻ります。
はい、これで答えとなりました。上の「らしい」は、推定の助動詞、下の「らしい」は形容詞「高校生らしい」の一部になります。
下の問題は答え方が少しいじわるでしたね。でも今回のような記述以外でも、選択肢から選ばせる問題で「〜の一部」はよく出るので、頭に入れておいてください。
「らしい」の見分けまとめ
「どうやら〜」と補い、しっくりきたら推定の助動詞
「〜にふさわしい」と置き換え、しっくりきたら形容詞の一部
いかがだったでしょうか？
特にこの時期、高校受験で追い込みをかけている人は、しっかりとこの考え方を身につけてください。それではまた！
